一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟

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関東学生アメリカンフットボール連盟

KANTOH COLLEGE FOOTBALL ASSOCIATION

2018年度 TOP8戦評

2018年度リーグ戦
  • 第1節  2018年9月2日(日)法政大学●14-16○明治大学

    明大、劇的勝利

    この瞬間、明大キッカーK37佐藤はドキドキ緊張しながらも、決めることができると冷静な心境であった。残3秒から蹴られたボールはゴールポストのど真ん中へ、静かに吸い込まれていった。
    「春はそれぞれテーマを持って選手を試しながら使っていて、そこからですね、秋にイケそうな選手がいるかどうかを見極めながら。今日のMVPは全員ですよ、あのミスをみんなでカバーできて。まとまりがありました」(明大・岩崎監督)
    明大伝統の紫紺魂と言えばわかりやすいが、この開幕戦にはそれ以上のまとまりとパワーを持ち備えていた。
    夏のハードな合宿に、猛暑の八幡山グラウンドでの日々の地道な練習が実ったのだ。

    互いにランゲームで前半10対7のシーソーゲーム。そこで4Qに法大のファンブルリカバーからの反撃を、法大QB1野辺が投じたポストパターンの高めなロングパス。それを、エースWR11高津佐が鋭くキャッチしてTD、13-14と逆転!これで勝利を手繰り寄せたかにみえた。

    しかし、決してあきらめない明大だった。
    味方のミスをみんなでカバーしようと、さらにまとまりにあふれた。
    「皆を強烈にリードしてくれるRB22加藤がいてくれる。ですから、わたしはひたすらにチームをまとめ上げて、全体を見守りながら走っています。今日は試合前から4時間、すべて集中させてメンタルを切らすことなく、全力で行くんだという強い気持ち、それにあふれていました」(明大RB9福田)
    リーグ戦において法大にじつに32年ぶりの勝利を得た明大だった。

    自由闊達さと明るさが目を引く法大は、これも開幕戦ならではの妙なのであろうか、いくらか緊張感に包まれていた。
    「どうにも相手の勢いに押された感がありますね」(法大・有澤監督)
    前半にがっぷりよつに組みながら、そこで相手の弱点を探し、時間をかけてそこをていねいについていく戦術は、法大ならではのレベルの高さがあり、それに応えていこうとする選手個々のパフォーマンスがある。
    「しっかりと走ることはできましたが、もっとフィジカルを上げて突き進みたいです」(法大RB3岩田)
    法大の優れたWRと快速のRBその組み合わせがさらに完成の域に達すれば、もう怖いものはない。まだシーズンは始まったばかり、ここからの法大らしい展開に期待だ。


    関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文
  • 第1節  2018年9月1日(土)早稲田大学○23-15●日本体育大学

    とことん鍛え上げられた日体大

    優勝候補の一角にある早大に敗れたとはいえ背番号11のエースナンバーを背負う小柄なQB小林は悔しがるどころか、逆になぜかにこやかな表情を見せていた。
    「パスが通りました。やってきたことが正しかったという手応えがあって、それでこれからもやれるぞと思って。だから、ですね。監督からはいつも周りに目を配れと言われています。それがこの試合で、いくらかできたかなというのもあります。その教えを受けて、もっと、もっと突き詰めていきます」(日体大QB11小林)
    そういう健やかさにあふれる表情であった。
    試合中に幾度となく果敢にキープランに出ていくQB小林は日体大のスポーツアスリートらしい賢明な一面をのぞかせてくれる。
    「小林には昔から期待しているからね」(日体大・大山監督)
    常日頃から眼力鋭く、ベンチサイドで腕組みをして、けっして多くを語らない闘将大山監督だったが、フィールドに散らばる全員に心を配っていた。過去には、そこで少しでも気の抜いたプレイを見せようものなら、すぐに呼びつけて容赦なく気合を入れていた姿があった。選手に愛情を持って指導しているのだ。

    最終の4Qには低く鋭いパスプロテクションに守られたQB小林から右エンドゾーン奥に、高らかに放物線を描く滞空時間の長いロングパスが放たれた。それを倒れ込みながらキャッチしたWR84徳永のヘルメットの中の目がキラキラと輝きにあふれ、すぐさま立ち上がりベンチへと走って戻っていった。その姿を暖かい目で見つめていたQB小林だった。
    だから試合後のささやかな笑顔があるのだ。

    今季、日体大は強い。

    例年のごとく、スロースタートな印象は相変わらずだが、それが試合を追うごとにぐいぐいと本領を発揮してくる早大の底力は並大抵のものではない。ピークを設定してしっかりと仕上げて勝利への道をひた歩む。それが総勢217名、闘志あふれる早大の真骨頂だ。
    「こんなもんですかね。全然ですよ、まだまだミスが多くて。反則も多いし、でも、ここから上げて行く。上がっていくことでしょう我々は。そういう望みは大いにあります」(早大・高岡監督)
    雨にずぶぬれになりながら、ときおりホッとした表情を見せつつ堅実な物言いの高岡監督は充分に手応えを感じ取っていた。

    今季からは、全米カレッジフットボールのテキサスA&M大学を彷彿させる、えび茶色の新しいユニフォームは、4年生のエキップメントスタッフがアイディアと工夫を凝らしたもの。早大カラーにホワイトパンツ、白い番号にはシルバーの縁取りを施した。
    「ケガで選手をリタイアした平山が、みんなの意見をまとめてQBクラブと一緒に作ってくれたんですよ。格好いいですね、それに機能性も良いです。その平山の想いを乗せての試合なんです。ほんとうに頑張りがいがあります」(早大DL97斉川主将)
    重厚かつ繊細なフットボールで観客を魅了する早大、まだまだこれから。


    関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文
  • 第1節  2018年9月1日(土)中央大学●21-24○慶應義塾大学

    わずか3点差に泣いた中大

    まただ、なぜだ、今季もこうなるのか。
    メインスタンドに陣取る人々の口からため息が漏れた。
    それとともにベンチサイドでも、なんでなんだと、茫然とした眼差しがみられた。

    「パスで先制されてもディフェンスには粘りがありました。それで追いついていけて。しかし結果的にTDを取り切れずにでした。チームとしてより取り組みを厳しく、詰め切れないことの改善と、1対1に強くあれです。幸いコーチ陣が充実してきましたので、これからさらに良き方向にいけると思います」(中大・蓬田HC)
    いつも懇切丁寧、はきはきと応えてくれる若き蓬田ヘッドコーチだ。
    こういう指導者であれば選手たちは想いをひとつに、勝利を目指していけるというもの。

    開幕戦に敗戦した選手たちはいくらかうなだれながらも、すぐに踵を上げてロッカールームのハドルへと向かっていった。
    そこには去年までとは違う何かがあった。
    「詰めの甘さがあります、まだまだです。そこに、ミスに対する厳しい姿勢が必要であると考えています」(中大OL78川西主将)

    今シーズンの中大は、大学の近隣にアパートを借り上げた寮が完備された。そこには広めなミーティングルームが設けられ、ほかの運動部と時間で分けられる人工芝グラウンド練習の前後には、入念なミーティングが行なわれていた。
    選手たちが寝食をともにしながらのチームメイクで、短期間のうちにこれまでにない心の通い合いとまとまりが出来上がってきていた。

    小差の3点で勝利した慶大こそ、前年は悔しい思いをしたゲームの連続であった。そこからの脱却が主となった秋のオープニングゲーム。
    その得意とするスピードあふれるノーハドルオフェンスこそ完成の域に向かっているが、そこからのひとつ突き抜けが欲しいと願う熱心なOB達の姿がスタンドにみられた。
    「ラストプレイで勝利できた試合でしたが、オフェンスはまだ経験を積み重ねていく状況です。そこにまだフィニッシュしきれないもどかしさがあります」(慶大・久保田監督)
    タックルの早い集散など好ましい面もあるのだが、それは当然のこととして、内に秘めた闘志は並々ならぬものが感じられた。
    「最後はチーム力で勝ったね。盛り上がってハートが強いときはいいのだけど、一旦、それが止まったときが問題だ。そこでボトムアップがあれば良いチームになれる」(慶大・スタントHC)
    英語を交えて、少し興奮気味に熱く語ってくれたデイビッド・スタントヘッドコーチだった。

    シーズンイン直前まで猛暑の中での静岡県伊豆高原合宿で、選手たちは精神的に充分にタフになることができた。そこからの上昇である。
    「夏はメンタルの強化に力を注ぎました。試合は気持ちの勝負なのです。この勝利で、いいスタートを切れたと思います、自信が持てました」(慶大SB13松岡主将)
    初戦の勝ち星は大きい。それをチーム全員が感じ取っていた。


    関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文