一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟

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関東学生アメリカンフットボール連盟

KANTOH COLLEGE FOOTBALL ASSOCIATION

2019年度 TOP8戦評

2019年度リーグ戦
  • 第2節 2019年9月15日(日)明治大学○28-10●東京大学

    『明大、盤石の勝利』

    過去にはチャレンジマッチへの出場の時を経て、ついには東京ボウルへの出場というように年を追うごとに上昇してきた明大だ。
    今季はいよいよ優勝を狙おうという機運に満ちている。
    応援スタンドにはチームカラーの黄色のTシャツとチアスティック、そして紫紺の旗が大きくたなびいていた。

    「前半にTDを2本とってチームは気持ちが乗りましたね。もともとディフェンスは安定していました。現在はランを主軸にしていますが、パスを交えてのバランスよい攻撃になって。最初は、ややランにこだわり過ぎた部分もありましたが、それを踏まえてです」
    大柄な岩崎監督がベンチサイドで腕組みをしながら、じいっと立ち上がりから戦況を見つめていた。
    いまや3年目を迎えて円熟味あふれるQB4西本は、左右どちらもスピードあるリードオプションからRB32小泉へとタイミング良いピッチ、および素早いミドルパスを決めていた。そこで、最後は信頼あるエースWR5久里にTDパスをヒットさせた。
    「反省があります。余計な反則にインターセプト、あれはない。そういうミスをしないで強く進むことこそ、なんです」
    勝って兜の緒を締めるどころか、自分のプレイとミスをきつく責めてしまうQB西本だが、そこから進化しなければとの思いが強かった。

    「東大には実績ある森ヘッドコーチがいるので、何をやってくるかわからないチームです」
    それだけ気を配りながら万全の準備をもって、あらゆることに対応していくことを念頭に置いていた岩崎監督だ。
    ベンチサイドの後手では、選手たちがゆったりとキャッチボールなどでアップしてみたり、これはどうみても覇気がないのではと応援席に陣取るベテランOBの方々は気をやきもきしてしまい。しかし、それも学生主体を貫く明大のいまの時代の姿なのである。
    「4年生がしっかりとリードしてくれてまとまりがあり、好ましいチームですよ」
    ともすれば気の緩みに映りがちな光景でさえ、おおらかに包み込む岩崎監督はじめ明大の指導者だった。

    このところのマシントレーニングの成功もあり、ボディに厚みが出てきていた東大の選手たちだ。
    「みんな頑張っていたのですが力負けです。LBやDBのスピードに課題がみえて。もっとうまく、もっと強くならないといけない。我々はこれから成長していきますよ」
    森ヘッドコーチは、あっさりとした言い方ながら先への望みをつないだ。
    ここ2試合ともにTDを得て好ゲームを演じている東大だ。
    豊富な部員数と機動力、まとまりの良さと組織力をもってTOP8のリーグ戦に挑んでいる。

    「明大のRBにずるずると出されてしまい、アジャストができなくて。それに明大のWRはスピードがあり、カバーしていきたかったのですが、そうもいかなくて悔しいです。これからも、粘りの守備で相手のシリーズを切ることをやっていきたいです」
    ディフェンスで、どのようにすれば局面を打開できるのかと考え続けていた副将のDB25八尋に、ひたむきさがあふれ出ていた。

    強者に対して果敢にアタックし、そこから新たな展開を見出そうと努力を重ねる東大である。またリーグ後半戦にかけて大いなる躍動が期待できそうだ。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第2節 2019年9月15日(日)立教大学○17-7●中央大学

    『気迫がこもる立大』

    気がつくと朝から快晴のAGFフィールドだった。
    秋なのに、まだ、ぶり返しの暑さがある。
    そのため前半に2回のウォーターブレイクが入れられた。

    「小さな変化がありました」
    好ゲームに勝利した中村監督が、ひとつ呼吸を整えながら放つ一言だ。
    「このままで良いのかな、次の試合までの2週間をどのように過ごすのかと、問いかけて。フットボールに誠実に向き合おうよと、でしたね」
    監督から真摯なまでにそう言われ、開幕戦の敗退から奮起をみせたフットボールのルーツ校、伝統の立大だ。

    高校時代からの長年のペアQB2若狭からRB3荒竹のハンドオフが見られないこの試合、いわば戦力ダウンなのではとの懸念もあった。そこに二番手、三番手といえるRB22西とRB31佐々木とが交代で出場していた。
    その2人を生かして進む4年生QB若狭はリードオプションから、ピッチにダイブ系のハンドオフ、キープランと獅子奮迅の走り、そして絶好のミドルパスを見せた。
    「いやRBは荒竹ばかりではないのです。西と佐々木にもしっかりとしたランがあります」と、にこやかに語る中村監督。

    一進一退の1Qから2QにそのRB西が中央を抜けてTD、さらに後半になるとQB若狭は大型TE/K/P98吉田へポストパスを通してTD、しかもその後すぐにFGを決めて17-0とセイフティリードだ。
    立大守備にもまた優れたアスリートが存在していた。
    「ディフェンスがキーになって試合を作っていく、これが理想です。つねに粘り強く守ることができました。要所で止めて攻撃へと渡す。それができたと思います」
    最後尾に構え守備の要としてタックル、WRのマンマーク、反則してしまった選手への心のフォローなど積極的に動きまわっていたDB1中谷だった。
    「彼はもっとすごい選手になれる、そういう素養があります。それが楽しみでなりません」
    中村監督の温かい言葉が続いた。

    8月後半に行なわれた記者会見では、今季は厳しいですというような少々元気のない言葉を並べた蓬田ヘッドコーチではあったが、ここまでチームを仕上げてくるのは指導者の力量ありきである。
    「やっていることは間違いないですから、その精度を上げていくことが大切で、いわば途中のような、いまはですね。それは初戦の法大で通用した部分があったので。もとから1ヤードでも前に進もうという意欲が選手たちにありますから。これを軸にして頑張れるチームを作っていこうと思います」
    負け試合とはいえ、決して暗くはならず持ち前の明るさと大声ではっきりと応えてくれた。
    「今日は近いので自宅から自転車で来たんですよ」
    と、そのまま黒い欧州風の自転車に乗って、颯爽とグラウンドを後にした。

    中大には今後に期待できる若い2枚、新人のQB14西澤と左腕QB7山村がいる。
    パッシングでは相手DBの手が届きにくいところに投げ、そこにWRが飛びついていく場面がしばしばみられた。これらも精度の向上において充分にキャッチできる範囲だ。
    それも4QにはQB山村からWR4岡崎そしてWR87小坂へとヒット。さらにRB29針ヶ谷のタフなランなど個性派の選手が揃う。

    「私たちは粘りの守備スタイルなのですが、今日はレッドゾーンの守りでの迷いもあり、悔しいですね。そのあたりを補いながら次へです」
    みるからに悔しさをにじませた副将DB22金子だった。
    そのもの自力ある中大らしさのフットボールの構築は、もうすぐそこまできている。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第2節 2019年9月14日(土)早稲田大学○28-0●日本体育大学

    『難敵を下した早大』

    「やはりブレナンにパスを通したい。なにがあっても通しますよ!」
    見るからに秀逸な左腕QB1柴崎は、最終学年を迎えて、はっきりとそう言う。
    メインターゲットはエースWR6ブレナンであると。
    「相手の厳しいマーク、そういうのはまったく関係ありません。その上で、あいつにパスを通してこそです」
    それがチームに勢いを呼び込む礎になるからと。
    懸命にブレナンの背を目線で追い、高らかに、ときに鋭くボールを投じていった。
    身体柔らかくブレナンはそれを、すうっと何事もないかのように自然にキャッチし、それを繰り返していった。あえて宣言した王道QB柴崎-WRブレナンの超ホットライン。
    崩せるなら崩してみろとの信念の表れ。そこに早大の強さが垣間見られた。

    だが、いつものスロースタート。

    アスリート揃いの日体大が左ラインの副将OL75松村を軸に強烈にプッシュして、RB40千代らを走らせゲインを重ねていく。そして先制のTDを狙う日体大。
    元来その相性の良さがあり、やや苦手とするチームカラーとの認識の早大だ。
    「いつもながらオフェンスの立ち上がりが悪くて、それにファーストシリーズからランが止まらずどんどんやられてしまって。なんなんでしょうね、気持ちのゆるみがあるのでしょうか。そのあたりは4年生に期待をかけていきたく思います」
    チームの引き締めを上級生に担った高岡監督。
    そのぶ厚さを誇る早大RB陣は前年に比すると、まだ後半戦に合わせている状況であろう、中村多聞RBコーチが手塩にかけて育て上げた逸材の宝庫である。

    日体大はQB8今村がスターターとして登場。日体荏原高アメフト部出身で試合経験が豊かな新鋭だ。
    それに卒業した昨年までのエースQB小林が大学職員として日体大に勤務、有形無形でその教えを受け、その小林によく似たプレイスタイルを有していた。

    汗もない真面目な表情で控室に戻ってきた副将OL松村だった。
    「左サイドで、いいドライブで出せていけました、ただTDを決めきれないのは反省点です。このドライブ力は先に維持していきたいですね」
    姿勢正しくそう言った。

    健闘およばずTD4本を奪われ、完封負けに終わった日体大。
    「フォルススタートなど、勢いがあるのに自分たちのミスでチャンスを逸してしまう。守備は相手とのヒットに強くあり、それで球際も強くあり、これまで地道に練習でやってきたプレイが前進を生みと良い部分はたくさんあります。それだけに反則のミスはいただけない」
    今季からチームを掌握する玉ノ井ヘッドコーチだ。
    そこに悲壮感はなく、これからであるとの意気込みが感じられた

    日体大チームサイドのスタンド前には、いつもの躍動感いっぱいの強豪チアリーディングチームVOLTEXが機敏な動きとリズムで熱い声援を送り、選手の背中を押し続けていた。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第2節 2019年9月14日(土)法政大学○30-20●慶應義塾大学

    『法大、順当に勝利』

    秋の開幕9月中の試合時間は開始が午前10時と、暑さをしのぐために昼をはさんで第2試合が午後3時30分に組まれているAGFフィールド。
    その天然芝のグラウンドは熱を吸収して、芝のクッションもよろしく、プレイするには最高なシチュエーションにあった。
    そのメンテナンスの人々による心のこもったグラウンド整備を、足裏や身体全体で感じながら選手たちは躍動していった。

    「反省点というのはありますね。まだまだどんどん行ける、もっとイケると。練習でやれていることをしっかりと出そうよと。我々は伸びしろがたっぷりのチームです。それも試合を通じてブラッシュアップできるチームなので」
    勝利して、選手たちに思いをわかりやすく伝えた有澤監督だ。
    試合後のハドルで、勝ちゲームという安心感とともに法大の選手たちの目が輝く。

    それも法大のオフェンスにはほとんどパスがなく、これはQBが9投して4回の成功で獲得わずか31ヤード。おもに実直なラン攻撃で300ヤード近くを走ってTDに結び付けていた。
    ともすればレシーバーに難があり?はたまたQBと個性あるRBそして強靭なOLの育成のためなのか、とスタンドのファンが心配する場面もあり。しかし、これらは先の大きな勝利へのステップであろうと、オレンジ色のチアスティックを打ち鳴らし見守った。

    「2年生の時にけがをしてしまって、そこからですね。しっかりと治して、走りたくて、ほんとうに走りたくて。ですから今日は思い切り走りました。それもスピードで抜けていく自分の持ち味を十分に発揮してです」
    復活のランとなった4年生RB32小林は重心を落として、相手DBを引きつけシャープなカットをみせてロングゲインしていった。
    主将のRB3岩田にRB29阿部と、いよいよ頼りになるRBユニットが揃ってきた法大だ。もちろんそこには地道ながらタフに展開して押し続ける大型OLの面々がいる。ならば、リーグ戦前半は手堅くRBアタックで突き進むのが得策か。

    開幕からのスターターQB1西澤とエースRB7大河原が横に並び、スクリメージラインの向こう側を見つめる。それも定評ある慶大ノーハドルオフェンスを封印してのランニングアタックだ。
    さらに高校時代はQBで名を成した大河原がQBに入る場面もあり。
    「開幕戦の立大の時は反則がゼロでした。ミスをしなければ勝てる、その意識があります。ミスをしないでドライブしていってフィニッシュする。それなのです」
    ときに脱兎のごとく、しかもパワフルなランを見せた大河原だ。

    前半は20-13と1本差で、後半に逆転を願った慶大。
    ところが法大K/P20高橋FGを決められ、RB小林にダメ押しに近いTDを許してしまう。
    「タックルミスがあります。その基本がまだまだ、いわば自滅ですよ。後半に集中力を上げていくこと、それがまだできていません」
    そう冷静に敗因を分析した久保田監督。
    最長52ヤードのFGをはじめ51ヤードFGトライは横にそれたが、ロングキックを2本決めたDB/K22山本も健在。
    「わたしたちはスタートファースト、フィニッシュストロングなんですよ。それはできます、今シーズンはこれを力強く掲げていきます」
    デビッド・スタントオフェンスコーディネーターは早口の英語で言い切った。

    それは接戦の妙ともいえそうであり。
    シーズンを通してさらに強くなっていくであろう両チームだった。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第1節 2019年9月1日(日)早稲田大学○23-10●東京大学

    敗戦も、上々のTOP8デビュー戦

    前年優勝校が、TOP8初昇格校に苦しみながらも順当勝ち。端的に言ってしまえば、そういうことになるが、見る者により強い印象を与えたのは、後者の東京大学だった。現行制度になって初めて相対する早稲田大学に臆することも気負うこともなく、平常心で立ち向かっていった。

    まだ蒸し暑さの残る18時キックオフのナイトゲーム。試合開始からしばらくは、完全に早稲田のペースだった。東大の攻撃は続かず、守備陣も早稲田のQB1柴崎が操る攻撃を止めることができずに、あっという間にTDとFGで10点を献上した。応援歌『紺碧の空』を高らかに歌い上げて盛り上がる早稲田サイドの観客席。しかし、こんなワンサイドゲームかと思われるような滑り出しにも、東大の面々は慌てることはなかった。
    特にQB14伊藤宏を中心にランとパスのバランスが取れた攻撃は、何かが吹っ切れたように外連味のないプレーぶりで、次々とダウンを更新。第2クオーター序盤には、伊藤からパスを受けたWR/TE96永幡がエンドゾーンへ走り込み、TOP8での初TDを挙げた。守備陣も徐々に踏ん張り、17点を与えて以降は、TDを許さなかった。

    それだけに、不運だったのは、7点を追う第3クオーター中盤のウォータータイム(水分補給のためのタイムアウト)だった。敵陣に攻め込み、第4ダウン1ヤードで東大は迷わずギャンブルを選択。素早くセットし、伊藤がスニークで中央を突いた。ギャンブル成功かと思われたが、ここで審判団が集まって協議。結局は、ウォータータイムに入るのが先と判断され、仕切り直したギャンブルは失敗。文字通り「水を差された」格好となった。勝負事に「たられば」は禁物だが、これが成功していたら、あるいはと思わせるような展開だった。

    もちろん、敗戦という結果は変わらないし、昨季BIG8で1つしかインターセプトを喫しなかった伊藤が、この日だけで4つも喫するなど、TOP8のレベルを見せ付けられた部分も多々ある。森ヘッドコーチは「力を出し切れたのは収穫。良くも悪くも練習通りできたが、今のうちのレベルではミスが出る。まだまだ力不足ということ。引き続き、ファンダメンタルとトレーニングをしっかりやっていかねばならない」と冷静な口調で振り返った。

    一方で、早稲田の高岡監督は東大の力を認めて言った。「うちに油断とか気の緩みとかいうものはなかった。一生懸命やった結果」。相手の流れを止めるため、やむなくタイムアウトを取ったり、後半途中からはエースWR6ブレナンを投入したりもした。東大は、この日見せたような戦いを、続く上位校との対戦でもできるかどうか。昇格チームは、得てして勝ち点の「草刈り場」となりがちだが、東大はやすやすと与えるつもりはないだろう。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第1節 2019年9月1日(日)法政大学○16-13●中央大学

    法政、土壇場で中央を振り切る

    勝つには勝った。しかし、どうにもこうにもすっきりした感じがしない。そんな、なんとも評価の難しい法政大学の初戦だった。昨年の初戦は明治大学との接戦を落とし、最終的に3位に甘んじた。この日は終盤まで中央大学にリードを許し、残り7秒で決勝のFGを決めて、なんとか振り切るという苦戦だった。

    立ち上がりから、フィールドを支配したのは中央大学だった。
    一年生QB14西澤が短いパスを的確に決めれば、大型ラインに支えられたRB3大津が着実にゲインを重ねる。最後は西澤が8ヤードを走って、あっさりと先制のTD。その後は追加点をなかなか奪うことができなかったが、攻守ともにライン戦で優位に立った。対する法政は、こちらも一年生のQB4平井がランプレー中心の組み立てを見せるが、RB29阿部やRB3岩田の中央を突いたランは、その多くが相手守備陣の壁に阻まれることとなった。

    前半終了間際には、LB47松永がインターセプトからサイドライン際を駆け上がって33ヤードのリターン。これをK20高橋のFGにつなげ、なんとか4点差で後半へと折り返したが、相手に傾いていた流れを止めるまでには至らない。第3クオーターの序盤には、中央にロングパスでTDを奪われ、点差は10点に広がった。攻撃は相変わらず中央を突く攻めが中心。ワンポイントで起用されるQB12勝本の切れ味鋭いランで変化を付けるが、第4クオーター序盤にFGで3点を返すのがやっとだった。

    このまま昨年のように初戦を落とすのか。そんな雰囲気が漂い始めたころ、突如として目覚めたように平井のパスが威力を発揮し、WR81神に53ヤードのTDパスを決めて同点。残り1分20秒で回ってきた最後の攻撃シリーズでも、落ち着いて攻撃を指揮して残り7秒でも決勝FGにつなげた。

    法政にとって幸運だったのは、中央の西澤と大津がともに途中で退いたこと。この2人が最後まで出場していたら、勝敗が逆になっていた可能性もある。初戦ということだからか、プレーの完成度はもうひとつで、攻撃のプレー選択やタイムアウトを取るタイミングなど、ベンチワークにも課題が残った。それでも、有澤監督は、「うちのチームが伸び代だらけ。楽しみしかない」と、チームの今後の成長曲線をポジティブに思い描いている様子。「特にオフェンスで、課題が見つかりながらも勝ったのは収穫。みな反省していると思うし、おもしろいオフェンスを展開できるようにしていきたい」と、前向きな言葉を続けた。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第1節 2019年8月31日(土)明治大学○41-7●日本体育大学

    明治、後半立ち上がりに一気に得点

    昨年2位に躍進し、今季は優勝候補の一角に挙げられる明治大学。前半は日本体育大学の果敢なプレーに手こずったものの、後半立ち上がりに一気に突き放して主導権を握った。

    序盤は日体大の挑戦者としての姿勢が、鮮明に浮かび上がった。最初の攻撃プレーで、失敗に終わったもののQBからトスを受けたRBが奥深くに果敢にパスを投げ込み、最初の第4ダウンではパンターがそのまま走ってダウンを更新。後は続かなかったが、意表を突いた攻撃で、明治を受けに回らせた。
    守備陣の動揺が、攻撃陣にも伝染してしまったのか、明治はQB4西本のタイミングのいいパスや、RB32小泉の力強い走りで前進はするものの、なかなかエンドゾーンを陥れるまでには至らない。結局、前半はFG2本の6-0で折り返すこととなった。

    「日体の攻撃に、最初は泡を食ってしまった。スロースターターになってしまった」と岩崎監督。逆に、日体大からしたら、「いけるのではないか」という感触を、ベンチも選手たちも持ち始めていたことだったろう。しかし、高温の時間帯を避けて18時開始となったナイトゲームで輝きを増したのは、明治のゴールドのヘルメットだった。

    迎えた後半のキックオフ。自陣10ヤードで捕球したWR5九里が、90ヤードを激走してこの試合初めてのTD。ようやく肩の荷が下りたように、明治は攻守ともに生き生きとした動きを見せ始めた。続く日体大の攻撃を敵陣でインターセプトし、わずか2プレーでTDを奪う。続く日体大の攻撃をパントに追い込むと、今度は敵陣深くでパントブロック。ここも攻撃がすぐさまTDに結び付けた。
    この間、わずか4分45秒。相手のミスに乗じたとはいえ、リードを一気に27点に広げた明治は、2本目以下の選手を次々と投入し、2戦目以降の戦いをにらみながら、余裕を持って逃げ切った。岩崎監督は「後半よくアジャストしてくれた。九里が流れを持ってきてくれた」と、ほっとした様子で振り返った。

    昨年は初戦で法政大学との接戦を制し、勢いに乗って5勝1敗の2位。東西の上位校が戦うTokyo Bowlにも初めて出場して経験を積み、この春も、オープン戦とはいえ、昨年覇者の早稲田大学と、学生日本一の関西学院大学から勝利を挙げた。1985年に華麗な左腕QB渡邉とパワフルRB吉村のコンビで関東を制し、甲子園ボウルで関学大との歴史に残る死闘を演じてから34年。今の選手たちには実感はないだろうが、久方ぶりの関東の頂点への期待をほのかに感じさせる船出となった。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第1節 開幕戦 8月31日(土)立教大学●8ー23〇慶應義塾大学

    闘志あふれた慶大

    猛暑の夏もそろそろ終わりを告げようとした8月後半。それでも容赦なく照りつける夏の日差しには、厳しさが宿る。
    試合の動きは静かだった。1Qはともに無得点。
    実力伯仲の両校、どちらも手探りである。

    試合が動いたのは2Q終盤、立大のファンブルフォースで攻守交代。ここからだった。
    ラン主体から相手守備が読めてき始めると徐々にパスプレーが増えてくる。
    リードする慶大はQB1西沢から落ち着いたミドルパスが要所に決まり、3QにはそのQB西澤からWR83原田への58ヤードのTDパスで0-16。
    さらに軽快なランで魅せるRB7大河原も中央を抜けてTD。互角といえたスタートから、最終的には8-23と慶大が開幕戦を制した。

    「初戦ということで、終始ボールコントロールを意識してのプレーでした。ターンオーバーを3つ取れましたからね、その意味では良いできだったと思います」
    慶大の久保田監督はあくまで淡々と応えた。
    前半は一進一退を繰り返し、ほぼ互角の力量という試合展開をみせた。
    そこに、エクスチェンジミスからのボールファンブルだ。チームのリズムが揺らぎ、試合の流れはがらりと変化してしまう。
    ともすれば、観客席の母校の応援に大挙駆けつけたファンの人々には、心躍る光景であり、逆サイドは苦み走る瞬間でもある。
    的確にゲームを進めそして相手のミスを見逃さない。それこそがアメフトの基本。

    部員200余名をまとめ上げる慶大DL90並木主将だ。
    「開幕戦を勝利した、ということで目の前の課題をひとつ乗り越えることができたと思います。先はとても長いのです」そこで満足せずに、次へ、との気迫が感じられた。
    「それに練習で出ていた細かいミスがまだ修正できていません。今日の試合でもその同じミスを繰り返してしまいました。そこを直していかなければ」
    大事な初戦に勝利してもなお、決して己を見失わず、ひたすら前を見続ける慶大である。

    「完敗です」
    立大の中村監督が、一呼吸おいて発した。
    「練習だけではなく、これまでの日々の取り組みが結果に繋がっています。練習や普段の生活からもそうでしょう、しっかりと見直さないといけない」
    と、さらに付け加えた。

    また丸刈りの立大OL64田邊主将がハドル後に口にしたのはこれだった。
    「最上級生がミスをして、それがチーム全体へ広がってしまって。下級生がしっかりとしてくれているのに自分たちがそれに応えられていない。それがほんとうに不甲斐ない」
    ひとしきり、悔しさにまみれた。

    立大の頼みの綱でもあったエースQB3若狭からエースランナーRB2荒竹への王道ともいえるハンドオフプレイは、慶大守備の執拗なタックルを浴びていた。
    「あのふたりは、完全にマークされていましたね。それはそうでしょう。だから、そこからなんですよ」
    中村監督が右手のこぶしをぎゅっと固くした。
    創立85周年を迎えたルーツ校のひとつ紫の立大ならではの伝統と意地がそこにあった。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕