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2016年12月21日第3回 Tokyo Bowl のみどころ
夢のトップランナー対決

 慶應義塾大と立命館大の史上初対戦が実現した第3回Tokyo Bowlの注目ポイントは『最強RB』対決だ。
 2015年度学生年間最優秀選手チャック・ミルズ杯と甲子園ボウルMVPをダブル受賞した立命館大RB西村七斗(3年)にとって、リーグ戦82回565ヤード6TDに終わった今季の成績は、もの足りないものだっただろう。なにより、エースとしてチームを甲子園ボウル二連覇に導けなかったことに対する悔しさは、西日本代表校決定戦ウエスタンジャパンボウル後に口をつぐんだことが物語っていた。
 リーグ最終戦の関学戦ではコンディションの不調もあり17回53ヤードに封じられた。しかし、関学大との再戦となったウエスタンジャパンボウルでは、前半ラン合計マイナス2ヤードの状況から一変、後半は関学守備を蹴散らしながら走る、西村本来のパフォーマンス発揮が、3点差まで瞬く間に追い上げた原動力となった。
 慶應義塾大を主将、そしてエースとして牽引。ライバル早稲田、日大を破り66年ぶりのリーグ優勝まであと一歩のところまで迫りながら優勝を逃したRB李卓(4年)にとってもまた、今季は悔いの残るシーズンだった。リーグ戦124回走975ヤード15TDと、対戦相手の徹底マークを受けながらも1000ヤードに迫った走りは、自らの手でチームを次のステージに押し上げるという決意の証だった。
 そんな二人にとってTokyo Bowlは今季の取り組みの真価が問われる戦いになることは言うまでもない。
 日本学生界、いや、今、日本フットボール界で一番ホットな二人の対決にご注目いただきたい。


■慶應義塾大学ユニコーンズ
ラン・パス自在のハイパー攻撃とアグレッシブに攻める守備

 法政大に次ぐ関東2位の一試合平均30.0点を叩き出した慶應大攻撃は、RB李卓(4年)のランが最大の武器である。さらに、李が「自らがチームを牽引する」という姿勢を体現したことによって、チーム全体の実力が試合を重ねるごとに底上げされていった。
 QBは小田裕太(3年)と、米内碩希(4年)の二枚看板。小田はタイミングパスと自らの足を生かしたゾーンリード・オプションで一発TDを奪う力を持っている。米内はパッサータイプで、立教戦、日大戦で先発起用された。
 WR陣はシーズン20回捕球327ヤード4TDを上げた田邊翔一(4年)がエース。柴田源太(3年)、中村光希(4年)、蜂須賀元太(4年)ら、ハイレベルな人材が多数揃っている。
 立命館大守備との対戦でポイントになるのは、OL対DLの攻防だろう。ベストラインのC浅原宏太郎(4年)の奮闘が期待される。
 守備はDL/LBでアグレッシブに攻める。DLは長塚大(4年)、萩原周平(3年)のスピードが秀逸。染矢優生(3年)、工藤勇輝(3年)、中野航平(2年)のLBトリオはいずれもブリッツァーとして非凡な才能を持っている。立命館大OLのスキームを破壊し、RB西村七斗をLOSの手前でスローダウンさせることが守備フロントの命題になる。
 DBはSF兵藤宣俊、CB杉山慶(ともに4年)が中心。マンカバーも多いため、立命館大レシーバー陣との勝負が見どころの一つになる。
「勝利してシーズンを終わるチャンスがあと1試合ある。支えてくれた多くの方々に感謝の気持ちを勝利で表す戦いにしたい」
 主将・李はTokyo Bowlで勝利し、2016年ユニコーンズとして有終の美を飾る決意で試合に臨む。


■立命館大学パンサーズ
タレント揃いの攻撃スキルポジションと来季の主力に期待の守備

 関西学生ディビジョン1トップとなる1試合平均35・4点を叩き出した立命館大攻撃の武器は、82回走565ヤード6TDを挙げて2年連続の関西学生リーディングラッシャーとなった西村七斗(3年)のランだけではない。
 QB西山雄斗(3年)はパス93投62回成功981ヤード10TDを稼ぎ出し、190.76ポイントの高レイティングで関西学生のリーディングパッサーとなっている。メインターゲットとして活躍しているのは、立命館宇治高時代からホットラインを組む近江克仁(3年)、RB起用も可能な『攻撃ウェポン』渡邉綾介(2年)、2年生ながらカレッジ日本代表に抜擢されたTE成田光希(2年)。学生界最速のWR猪熊星也(4年)は、パス捕球後のランだけでなく、ジェットスイープでもロングゲインが期待できる。
 関学に次ぐ平均失点6.7点の守備も強力だ。
 DLは松原健太朗、大野莞爾(ともに4年)の学生日本代表コンビが強力。DBは関学戦でもビッグプレーを演じたSF木村俊基(4年)が守護神。DBのエース番号である『13』を背負うCB奥野喬平(3年)、要となるNBを担う中川葵一(3年)、抜群のボールセンスを持つCB村上知裕(3年)ら、今季の主力は来季、中心選手として期待される者ばかりだ。課題視されていたLB陣は富治林令士(3年)、木村仁哉(3年)が試合経験を積んで伸びてきた。彼らにとっては、シーズンエンドに関東学生最強RBである李卓を止めることで、来季への自信につなげたいところだろう。
「最後までパンサーズらしいフットボールをする姿勢を後輩たちに残したい。最高の準備をして慶應に全力をぶつけます」と、主将OL西信一朗(4年)は、今季の集大成をTokyo Bowlに懸ける決意だ。


ハドルマガジン 上村弘文