2019年度 TOP8戦評

2019年度リーグ戦
  • 東日本代表校決定戦 2019年12月1日(日)早稲田大学41○-●10東北大学

    『早大、圧勝で大学選手権決勝へ』

    仙台市の中央部にある人工芝の川内グラウンド、そのすぐ横には大学本部と校舎、斜め下には市営地下鉄の駅があった。
    練習が終わるとスタッフが握ってくれたホカホカなおにぎりをほおばり、それぞれが自転車や原動機付きバイクで、下宿やアパートへと帰っていく東北大アメフト部の選手たちだ。
    爽やかな風、澄んだ良い空気、緑豊かな青葉城。
    そういう大自然に囲まれながら、長年アメリカンフットボールが育まれてきた中心都市であった。
    市民は東北大の学生を日頃から暖かい眼差しで見守っていた。

    「地方にある大学チームですから遠征費や移動費がおおきくかかってしまいます。勉学のために入学してきた部員たちにも、そのあたり費用面における限度があります。もっと関東や関西の強豪チームと合同練習やスクリメージなどを繰り返したいのですが、そこまで頻繁に移動できないのが実情です。それがつらいところですね」
    早大に敗退して顧みてなお、かみしめるように語る就任2年目の萩山監督だった。
    「それでも保護者と父兄の皆さん、アメフト部を後援してくれるOBの方々などから、お米と肉などが大量に届くのです。そういうのは本当にありがたいですね感謝しています」
    選手たちの身体を気づかい、より大きく、さらに強くなってほしいと、パワーフードや栄養ドリンク類から西瓜まで、頻繁に部室や大学へと届けられる。
    「農家の親御さんは、なにをしていいかわからないから、うちで作っているコメを食べてとドーンと送ってくれるのです。いや、東北の米はおいしいですよ、宮城のササニシキはとくに(笑)」
    前年よりも確実にボディサイズが大きくなり、パワフルさに満ちていた東北大のメンバーだった。
    そこで萩山監督は勝つチーム作りへとおもむろに舵を切っていった。

    「過去にXリーグで大活躍していた萩山さんがメイクするチームですから、しっかりと仕上げられて、さらに、何を仕掛けてくるか見えにくいチームになっているはずで、そのあたりを十分にケアしていかなければなりません」
    全勝で関東TOP8を制して、なおかつ連続の全日本大学選手権決勝(甲子園ボウル)出場をめざした早大の高岡監督であった。

    試合前からチーム内に心の余裕があった早大は、張り切りボーイのWR6ブレナンがフル出場。しかし調整中でもあるエースQB1柴崎はベンチエリアに留まり、3年生のQB12宅田にボールを委ねた。
    またRBユニットにおいてはRB5中野をメインランナーに据え、そこにカットバックランナーRB25吉澤を要所でからませ、次には突進型のRB44広川らをバランスよく送り込んでフィールドの主導権を握っていった。

    前半は東北大守備の踏ん張りと、パスキャッチ後すかさず反転してエンドゾーンへ走り抜けた2年生RB33石尾のTDランにより早大13-10東北大とほぼ互角。
    そこでハーフタイムでは各陣のスタッフ分析による選手への戦術インストールがどのように展開されるかに注目が集まった。それもどちらのチームも相手の出方によって、それらの対応と、弱点をうまくついていく策を講じていたからだった。
    迎えた後半、試合巧者の早大は瞬く間にランで2TDをあげ、また東北大にパントブロック処理のミスが出て、さらに2TDを献上してもはや勝負ありとなった。

    「去年の悔しさを伝えて練習にぶつけてきました。OLのパスプロ技術やフィジカルの強さをていねいに教えながら。スクリーンなどは上手くなりましたけど、早大のLBを取り切るとなると、まだやることがあると感じました」
    小舘コーチは前年に主将として東北大アメフト部をけん引、今季は学業のかたわら学生コーチとして選手指導していた。
    彼は来春にはアメフト部がある有力企業に就職が決まり、そこでプレイすることを考えている。それだけに経験とやり残したことを後輩の選手たちに伝えておきたかった。

    「やり切った感というのですか、点数どうのこうのというよりは、これからもっと強くしたい。アメフトの持つ面白さと夢をさらに地方にも伝えていきたいですね」
    負けてさばさばとした面持ちながら、時折、笑顔をみせた萩山監督だった。
    健闘した東北大は、守備の2年生DB49甲地が早大のロングパスをインターセプト、アメフト不毛の地といえる青森出身で、それは弘前出身の小舘コーチと同様、アメフトの魅力にひかれて入部、快晴の横浜スタジアムの大舞台で活躍してみせた。
    「なんとか入部してもらい1、2年生のうちにいかに懸命にできるか、その環境を与えたく、素養ある学生を集めたいのです。勝って強豪の大学にショックを与えていきたいですね」
    萩山監督は、その道は正しいと少しだけ胸を張った。

    地方リーグの雄、東北大。選手の中には関東と関西の高校でアメフトをプレイしてきた選手が増えてきた。そこで地元出身のアスリートをミックスして作り上げる新たなチーム。

    いやおうなく全国へのチャンスが広がってきた。
    各地区と盛んに交流戦を行ないながら大学日本一へと。

    まずは大学選手権、そういう大きな大会に出場して1勝する。
    そこからだ。
    夜半、選手たちは堂々とバスに乗り込み、東北道を北上、杜の都仙台へと帰路についた。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第7節2019年11月24日(日)早稲田大学〇27-14●明治大学

    『早大、全勝優勝を飾る』

    午前中の雨が上がり、すっきりとした空気が戻った横浜スタジアム。
    今日のハマ風はそれほど強くはなかった。
    であれば、早大得意のパッシングゲームだ。

    先発は3年生左腕のQB12宅和。その長身からのスローイングであっさりとTDを得た。
    早大オフェンスは左の2枚看板QBであるとの印象を強くした。
    このゲームに出場しなくとも沈着冷静にフィールドを見つめ続けていたQB1柴崎は、TDを決めたエースWR6ブレナンへの熱い想いを語り出した。
    「あいつが言うように相手にきつくマークされてからが勝負です。それは十二分にわかっています。次の試合でも、その先の甲子園ボウルでも。去年、なすすべなく終わった12月のことがあって。本当は自信があったのですけどふがいなさばかりで。だから今度は自分がチームを勝たせないといけない。それで毎日もがき続けて不安しかありません。あとは、やろうという気持ち、なによりもそれが大切に思います」
    シーズンMVPを獲得したQB柴崎は、けっこうインターセプトをされファンブルもありでした。と少しばかり自嘲気味に語るが、クールな物腰で投じたパスをWRブレナンに通していくあたりはもはや歴戦の雄である。

    試合直後に、少しだけ気持ちを述べてくれた高岡監督だ。
    「まだ、ミスがありますからね。そこですね課題は。東北大は萩山監督が手塩にかけて作ってきた好チームですから。ミスがあったらいけません。しっかりと勝ちたいですね」
    目の前の試合にかける大らかながら、チームを引き締める言葉だった。

    4Qには、それまで数度ミドルパスを受けながら、的確なランブロックで明大DBをコントロールしていたWRブレナンが柔軟にスピードに乗ったカットをみせてフリーになり、QB宅和からのTDパスをキャッチ、そこで気迫の形相を見せた。
    それはこの1本で、もはや大丈夫とチームを勢いづけた迫真のロングボムであった。

    かたや紫紺魂を爆発させたかった明大は、守備において視野が広いLB1徳茂を中心に激しいタックルで応戦していった。
    明大らしさのフットボールとはなんだろう、我々の良さとは。リーグ戦で2敗を喫して、
    しかも主戦QBは故障欠場。そこからの粘り強さと意地がある。
    「パスはようやく1回だけ取れました。もっとパスで試合のリズムを作っていきたくありましたが、ブロックもキッキングも全員で頑張りました。私たちは学生主体で、選手個々に考える力を持てるように指導して。それに主務をやっていたのでプレイとの両立をめざし、そうですね、やり遂げました」
    と、あっさりと言う、後輩の面倒見がよいWR12坂本は『次はだれかな』と撮影の順番を並んで待つ下級生とともに写真に写り込んでいた。

    また大柄な岩崎監督はベンチサイドに存在感いっぱいに立ち、じっと試合を見つめていた。
    「力負けでした。それでも要所で、次につながる試合だったとは実感しています」
    それほど多くは語らずにていねいに応えてくれる、その実直さは今シーズンも健在だった。
    さらに主務のWR坂本には、彼の才覚そのもの、しっかりとやってくれたと付け加えた。
    過去にはオプションの明大、甲子園ボウルで関学をとことん追い詰めた明大だった。
    その伝統を生かして、新たな風を取り込んで明大らしさにあふれた意気高いフットボール、それを観たく思うのは何もオールドファンばかりではないはずだ。

    連勝街道まっしぐらで全勝優勝を遂げた早大は、東日本大学選手権で北海道・東北地区の覇者、東北大との対戦をみる。
    その勝者には、全日本大学選手権決勝(甲子園ボウル)が凛として待ち受ける。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第7節2019年11月24日(日)法政大学〇17-14●立教大学

    『Tokyo Bowlへと法大が進出』

    このところ先制パンチが得意な法大は、立ち上がり1年生QB4平井とQB12勝本からのパスをヒットさせて2連続TDを決めた。そして集中力をいかんなく発揮、見事なまでにゲームの主導権を握っていった。
    そしていつにも増してカットランがさえるRB29阿部が快走でフィールドを駆け上がる。
    こうなると堅実なランゲームで試合をメイクする法大だった。
    そこでパッシングは決め手となるWR81神を縦横無尽に走らせながら、より良いシチュエーションを求める余裕を持った。

    ディフェンスラインで張り切っていた2年生DL91山本は、日頃から教えを受けている先輩のDL94長内と肩を並べて、試合後には仲良く2ショット写真に興じた。
    「試合では思い切りできたのですが気合が入りすぎました(笑)。きっと成長できる、そうしなければならないと、気負っていたのでしょうね」
    と照れながら反省を口にした。また、程よくして決定したTokyo Bowlの対戦相手、神戸大については『関西に負けてはいられないですから』と気持ちを新たにしていた。

    「立教に勝とうと準備をしてきました。その狙い通りの展開でした。LBとしては駆け引きが好きなので、それも上手くつっていけて満足いきました。あと最後の1試合、Tokyo Bowlがとても楽しみですね」
    副将として積極的なブリッツなどで、果敢にアタックしたLB24小澤だった。

    「早大に敗れて日本一になるという目的意識が薄れて、そのなかでも4年生はよくやってくれたと思います。それを見て学びながら下級生はもちろん頑張っていました。これが先、さらに伸長につながっていくと感じています」
    言葉明瞭に語る有澤監督だった。

    『勝つために何をすべきか次へ向けての取り組みを明確にしていこう』
    常々、立大の中村監督はそのように口にしていた。
    それだけに選手は、集中しながらじっくりと自分たちを見続けていた。
    その高校時代から長年ペアを組むQB3若狭とRB2荒竹だった
    「荒竹とは小学中学と野球部で一緒でした。高校と大学ではアメフト部で気心がわかっていて、最後にあいつでTDを1本返すことができて、それがうれしかったですね」
    また2年生WR19南雲とは練習のときなどに、いろいろとこうしてほしいとリクエストを言ってきて、それがよい刺激になり自分の成長にも繋がりました、と目を細めた。

    リーグ最終戦で俊敏なパスキャッチをみせたWR南雲は言う。
    「プレイで貢献できたのでうれしいです。テンポよくリズム良いオフェンスを心掛けていました。QB若狭さんからのパスは、ほんとうに取りやすかったです」
    2年生ながらシュアなキャッチが光ったWR南雲も、今後の伸びが楽しみなひとりだ。

    最後は粘りある立大に追い上げられたが、前半のリードを守り切った法大が勝利。
    TOP8で2位となり、12月8日(日)富士通スタジアム川崎で開催されるTokyo Bowlへの進出を決めた。
    法大が誇る個性あふれるフットボールが西の雄、国立大学で進境著しい神戸大を真正面から迎え撃つ。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第7節2019年11月24日(日)日本体育大学●3-16〇東京大学

    『TOP8残留を決めた東大』

    東大のQB14伊藤が快活にハンドオフ。そこでRB31大路とRB32樋山とがそのパワフルさをもってじわりじわりと前進していった。
    ならば受け身になってはならないと奮起したまとまりある日体大ディフェンスであったが、こと細かく分析されていたと気がついたときには、時すでに遅くであった。
    「大路にはスピードがあります。わたしは得意なカットとデイライトの走りを基軸に進んでいこうとしました。守備の動きがよく見えてOLの皆がしっかりと押して走路を作ってくれていたので、それがありがたくて思い切り走れました」
    自分の役割を熟知していたRB樋山は保持するボールに魂を込めてエンドゾーンまで懸命に走って行った。この樋山は2TDを記録して東大勝利の原動力となった。

    「細かな計算などせずに初戦からフルメンバーで闘い抜こうとしていました。その結果が勝利につながりました。ただ、もっとやれたのではと思いますが、それはまた何かしら来季に結びついてくるはずです。それと4年生が非常によくやってくれました。またたくさんいるスタッフも頑張ってくれて。そのすべての成果のあらわれです」
    勝利して緊張から解かれ、ようやくほっとした表情になった森ヘッドコーチだった。

    逆に1FGに抑えられ敗れた日体大は、しんみりとした空気に包まれた。
    「先輩方が支えてくれて、なんとか頑張ろうとしました。それでもまだ実力不足でした」
    うつむきながら語る1年生QB17石渡は幾度となくパッシングに出たがオーバースロー、さらには守備の圧力に腕が縮んでなどと散々だった。
    また闘志むき出しで押したOL77篠田がゲームを振り返った。
    「ランで勝つことを目標にしていましたが、後半はランで出されて流れを持っていかれました」
    試合前には、初年度の指導育成となる玉ノ井ヘッドコーチの教えの下、目を閉じてやるべきことを静かにイメージして、深呼吸して試合に入っていく日体大だ。
    いまは悔しさあふれる面々ではあったが、次のひと試合、BIG8との入れ替え戦チャレンジマッチへと頭を切り替えて気合を込めた。

    東大は関東1部TOP8への残留を決めて、ベンチ全体とスタンドの応援の皆さんが安堵の表情そしてその嬉しさの渦に包まれた。
    この東大の成績は、アメリカンフットボールは体力と頭脳の両輪が必要であることの証明となり、実力さながら来季にはさらなる躍進が期待できそうであった。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第6節2019年11月10日(日)明治大学○17-13●立教大学

    『明大あざやかな逆転勝利』

    ここ一番の試合ではやはりエースランナーの躍動に試合が左右される。
    夕暮れ迫る横浜スタジアムは、刻々と冷え始め、海からの冷えた風が吹き上げてきた。
    観客は場内をめぐる売り子さんから暖かいコーヒーを買い求め、それを大事そうに口にしながらフィールドに目をやった。

    立大はRB2荒竹が姿勢を低くして巧みに駆け上がり、見事に先制のTDを決めた。
    それも立教新座高アメフト部時代から長年にわたりペアを組み、呼吸が合うQB3若狭は、その安定の力を発揮。RB荒竹へのハンドオフもフェザータッチで深さのある懐めがけて、あくまで軽くボールを押しやった。
    受ける荒竹もその感触を慈しむかのように柔らかく抱き、両脇をほどよくしめながら走りまわりランが22回で124ヤードを獲得。
    QB若狭はいつものように走りゆく荒竹の背中を見おくり、ふうと一呼吸、残身の心意気をもって彼を見つめ続けた。

    「頑張っていた守備ですが、明大のスペシャルプレイで浮足立ち、崩れていってしまいました。でも、このところ良くなってきています。小さなミスが勝敗の分かれ目なのです。最終戦を前に自分たちを変えていくことはできるのです」
    広い視野を有する守備のかなめDB1中谷は、果敢なまでに勝負をかけていた。
    「攻撃でよいリズムを作り切れませんでした。前半2本のFGは着実にTDをとらなければならない場面です。そこに至らない細かなミスを普段からつぶしていくことができれば、もともと伸びしろがあるチームですから結果はついてきます。つねづねですが周りの人々に感謝して、あと2週間後に控える法大戦に備えていきたいと思います」
    じっくりと考えながら禅問答のように自分にも語りかける中村監督は、その詰め切れなさを嘆いていた。

    追いかける明大はハーフタイムを境にして、がらりと変わった。
    ここぞとばかりに、チームに全体に伝統あふれる紫紺魂が注入されたのだ。
    エースQB4西本を故障で欠きながらもランでエースRB32小泉が小刻みに前進、そこからRB29山田が走り込んでTDを返し、さらには1年生QB15吉田からWR11嘉本へとTDパスを決めてあっさり14-13と逆転。そのまま攻勢を保ち勝利を飾った。

    「前半は慌ててしまい、それも後半にようやくアジャストできていきました。最後は勝ってひとつでも順位を上げてTOKYO BOWLに出場、4年生にひとつでも多く試合をさせてあげたいですね」
    賢明さながらの早口が戻った長身の岩崎監督が、いくらかしんみりと語った。
    「つねにハードヒット狙いで倒します。最初は立大のアンバランス攻撃に戸惑いましたが、それもハーフタイムでアジャストが入り、それがうまくいきました。今季の最後は、早大に勝利して2位で終わりたいですね」
    名門である関西大倉高から関東にやってきたLB1徳茂は、八幡山の人工芝グラウンドで伸びやかにアメフトを続け、いつしか明大伝統の闘魂と紫紺魂に彩られていた。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第6節2019年11月10日(日)中央大学○27-10●東京大学

    『万感の思いで闘いを終えた中大』

    今季、初めてとなる横浜スタジアムでの3試合。
    早朝には横浜マラソンが大掛かりに開催され、スタジアムの周囲は健脚のランナーとその応援の歓声にしばらく包まれていた。

    第1試合はここまですべてのゲームにおいて綿密な工夫を施しながら、勝利への道を邁進する東大が登場した。
    対するのはリーグ後半戦になり、八王子のホームグラウンドで行われた明大戦の勝利から一気に昇り調子になってきた中大。
    開始直後から、伝統的に強さあふれるDLとコンビネーションに長けるLBのバランスが絶妙な中大の攻めるディフェンスに、東大はしばし圧迫を感じていた。

    東大オフェンスは大型OLに守られながらエースQB14伊藤が、WR96永幡をメインターゲットに据えて、左右にミドルパスを投げ込むスタイルをとった。
    だがランで頼みのRB31大路は中大の強力なDLとLBに鋭いままにタックルを浴びて活路を見出せずにいた。そして、1QにはファンブルリカバーTDまで奪われてしまう。

    逆に中大は期待の1年生QB14西澤が、RB29針ヶ谷やRB3大津、WR岡崎とWR84平出などへとバランス良いランパスアタックをみせて手堅くゲインを重ね、さらには自身のQBランTDをも成功させて勢いの波に乗る。
    この試合を通して終始、押し込んでいたのは中大だった。
    「粘りの守備をめざしていました。それも前半にはつまずいた印象でしたが、後半にはうまくコントロールできてのインターセプト、もう、最高ですね」
    ディフェンスを2列目からじっくりとまとめ上げ、堅実にインターセプトまで記録したLB15平沢だ。
    また4Qには中大のロングキッカーK/P5福井が長躯44ヤードのFGを決め、それがダメ押しの得点となった。
    「ここまで開幕から6試合目にしてようやく地に足がついたというか、なんとかですね。有望な若手がたくさんいるので来年も楽しみです。中大に期待してください」
    蓬田ヘッドコーチは、今後につながる勝利だと確かな手応えを感じていた。
    この第6節で今季は終了となった中大は試合終了後そのまま集合写真を撮影、浜風が吹きつける横浜スタジアムに郷愁を誘った。

    前半はFG1本、後半にTD1本に抑えられた東大ではあったが、要所でエースQB伊藤のパスが決まり、テンポよい前進をみせていた。
    「今日は、前半どうにも浮ついていて、力負けでした。ラインもコントロールされていて、チャンスで決め切れないもどかしさがあります。そんな少ないチャンスを逃さずにものにする強さ、勝とうとする意識がもう少しほしく思う」
    あくまでクールにチームを見守る森ヘッドコーチだった。
    「スカウティングはしっかりとしていて、理解はできていた中大のプレイでしたが、ランを出せなく終わってしまい。フィジカルを生かすことができず、むなしさもありますね」
    アメリカのフォートリー高から帰国後、東大ならば活躍できるとアメフトをスタートさせたOL69菅原は、やや無念の表情になった。

    東大は、最終節11月24日(日)に横浜スタジアム日体大と対戦、敗れたチームがBIG8の2位校との入れ替え戦に回ることになる。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第6節2019年11月10日(日)早稲田大学○35-28●法政大学

    『早大、輝きの2連覇達成』

    そこに対峙するふたりがいた。
    エースレシーバーとして毎試合、得点への道筋をつけていた早大WR6ブレナンが片手取りでQB1柴崎からのボールを取ろうとした瞬間、したたかにその腕をはたかれてパスは失敗、TDを逃したシーンがあった。
    躍動いちばん、軽やかな翼をもつ名レシーバーのブレナンに対して、パスキャッチさせまいと厳しいマンマークをみせていた法大DB23渡辺だった。
    「これまでケガがあって試合にはなかなか出られないでいました。それだけに今日は、パスを0本に抑えることを目標に置いて。けれどもTDパスを1本通され本当に悔やまれます。それだけ、WR6との対面は楽しかったです」
    ここまで、あまり試合には出場できずにいた鬱憤があり、そこで早大エースWRブレナンにパスを取らせるものかと、持ち前のファイティングスピリットに火がついた。
    「いつも、試合は楽しいのです。でも、これほど楽しいのは久しぶりでした。あのDB23に手をはたかれてパスを取れなくて唖然として。ならば、ラン攻撃では完全にブロックしてやろうと熱く燃えました」
    笛が鳴るまでの激しさあふれる攻めと守りは、ときにしつこさを増し、ひとつのプレイ後において互いに一触即発のにらみ合いになりそうだったが、いや、ブレナンの表情には微笑みさえ浮かんでいた。
    また高校時代はアメフト未経験ながら、その好ましいスポーツセンスと鍛え上げられた身体で積極果敢に打ってでた法大DB渡辺は、敗戦の悔しさに残念そうな顔を見せていたが、早大WRブレナンの話になるととたんに、僕も、ものすごく楽しかったですよと雄弁になった。

    関東を代表する究極の局面でのハイレベルな攻防。
    だからふたりとも『楽しかった』と言えたのだ。

    優勝がかかったリーグ戦の第6節は、全勝の早大と1敗の法大の対決。
    雲ひとつない快晴の横浜スタジアムは来年の東京五輪用に改修がなされ、さらに見やすいボールパークへと変貌を遂げつつあった。
    いきなりのキックオフリターンTDは法大1年生RB30星野がエンドゾーン左サイド奥へと走り込む。そして青く爽やかさが増した空に、ぐんぐんとパスが伸びて高さあるWR81神の腕中にTDパスが吸い込まれていく。さらに1年生QB4平井からエースRB29阿部へのパッシングでTDを重ねた。

    今シーズンも早大はスロースタート、それはいつものことだろうか。
    そこでけっして焦ることなく後半での逆転を念頭に、じわりじわりと攻め上げていった早大はWRブレナンがファーストターゲット。そこに強靭なDB渡辺をあてがう法大だ。
    そうなると、必然的に早大が誇るRBユニットの活躍の場となる。
    味方のOL75海老原ら大型ラインの背中をうまく使う小柄で俊敏なRB25吉澤に、猛烈な突進力があるRB44広川などを使い分け、それこそゴリゴリと進んだ。これは、中村多聞RB技術コーチの堅実な教えが息づくもので、今後さらに伸びが期待される早大RB勢だ。

    法大は後半にかけてRB29阿部の切れの良いカットランが封じられてしまい、パッシングでは、守備の切れ目にミドル系を投げ込み基盤を作るパターンとなった。
    「WR神に投げてくるのはわかっていたので最後も1本は取られても、TDにつながる1本は完全にシャットアウトしようとして、それがあたりました」
    4Q残り1分弱、決めてTFP勝負に持ち込みたい法大のTDパスに狙い定め、そのパスをインターセプトした副将DB21大西は、そう言いながら胸を張った。

    この関東の雌雄を決する試合は、お互いの長所をつぶし合いながらの接戦となった。
    「前半でいえば負け試合ですね。ミスを含め我々の悪いところがすべて出てしまい、空回りが続いて。よく逆転したなと。普段から4Qにどれだけ勝負できるかが大事だと精神面と体力をつけてきて、それが活きました」
    高岡監督は落ち着いた眼差しでそう語った。
    「ボールを落としてしまうミスなどでプレイを崩してしまった自分を、チームのみんなが助けてくれて。やはり、最終4Qの勝負になると思い、どこかにリスクを負いながらも1本1本ていねいに取り返していこうとしました」
    きつくマークされながらも、的確にオフェンスをリードしていったQB柴崎は冷静であった。

    先行逃げ切りといきたかった法大は、後半は無得点に終わった。
    「挑戦者として、立ち上がりの良さを持続できませんでした。それと早大とは実力差があると思います。そういう試合でした」
    法大の有澤監督は潔く述べて、フィールドを後にした。
    「前半はプラン通りでした。3Qになると、ファンブルミスなどが重なり、この結果です。しかし悔いはありません、やり切りました」
    キックオフリターンでロングゲインをみせたRB3岩田主将も心静かに試合を振り返った。

    早大は最終戦の明大に勝ち全勝優勝をめざし、そこから翌週の12月1日(日)に横浜スタジアムで行われる東日本選手権決勝で、東北大(東北地区・北海道地区 優勝校)との闘いを迎える。
    また技量豊かな法大は一転、立大に勝利してリーグ2位となり、それは最終節の明大の結果次第となるが、12月8日(日)に開催されるTOKYO BOWLへの出場を望む。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第5節2019年10月27日(日)早稲田大学○44-20●立教大学

    ルーツ校3連戦の初戦は早大に軍配

     日本のアメリカンフットボール85年の歴史の巻頭に、明大と並んでその名を刻む早大と立大。AGFフィールドの天然芝は王座決定の地、甲子園と同様の緑で両チームを迎えた。

     早大最初の攻撃、QB1柴崎の投じたパスは立大LB23坂口の手の中へ。敵陣で得たこの攻撃権をK96中山のFGに繋げて先制した立大は、次の攻撃でもFGを決めリードを広げる。早大の高岡監督が、「立教にしっかり対策されて苦しんだ」と振り返った通り、伝統の一戦は台風の影響と相手校の出場辞退で1か月ぶりの試合となった早大が、連戦の立大に対して受けに回った立ち上がりとなった。

     しかし、そのままで終わらないのが早大の関東王者たる所以。RB44広川が立大守備を切り裂くと、K96高坂がFGを決めて反撃開始。前半終了間際には「あのTDが大きかった」と高岡監督と柴崎がともに振り返った柴崎からWR2小貫へのTDパスで逆転。早大がリードして折り返す。
     後半に入ると、早大の攻撃が本領を発揮。「オーディブルでアジャストしていった」という柴崎の指揮の下、広川、小貫、そしてWR6ブレナンが縦横無尽にフィールドを駆け回り、ピンポイントで出場のQB8吉村がアクセントを加える。終了間際には、高坂が歴代2位タイとなる55ヤードのFGを決め、終わってみれば44-20で早大が勝利した。
     「幸運な面も多々あり、点差ほどの差はなかった」と高岡監督は振り返ったが、全勝をキープした早大は、次の法大戦に勝利すれば2年連続のリーグ優勝が決まる。「法政は絶対仕上げてくるので、簡単な試合にはならない」と、次を見据えて気を引き締めた高岡監督だが、その口ぶりからはリーグ連覇、そして悲願の大学選手権制覇へ向けての手応えを得たように感じられた。

     立大も攻めてはRB2荒竹のランにQB3若狭から多彩なレシーバー陣へのパス、守ってはDL58丸山のサックなどで追いすがったものも、最後は早大LB42岸、DL94山田に立て続けにサックを浴びて万事休す。2敗目を喫して優勝戦線からは一歩後退となったが、次の対戦相手は同じく2敗の明大。ルーツ校同士の3連戦の2戦目が、逆転優勝の可能性を懸けた一戦になる可能性も十分にある。 

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 放送委員長・広報委員 松川 達也〕
  • 第5節2019年10月27日(日)明治大学○10-7●法政大学

    明大、乾坤一擲の逆転勝利

     ここまで4連勝の法大と連敗中の明大。リーグ戦の勢いそのままに、試合開始から法大が新鋭QB4平井のパス、12勝本のオプションで攻め立てるが、敵陣でのファンブルなどあと一歩の精度を欠き、1Qは得点に至らず。試合が動いたのは2Q、法大は敵陣でのギャンブルを成功させ、最後は勝本が10ヤードを走り切りTD。その後も法大は、得点こそできないものの優位に試合を進め、DL52山岸のロスタックルなど前半終了間際まで明大攻撃にダウン更新を許さない。しかし、明大もDB22野村のインターセプトで反撃の萌芽をのぞかせていた。

     その芽が一気に開いたのは、後半開始のキックオフ。ボールをキャッチした明大7渡邉が一気に加速し、敵陣深くまでリターン。「あのプレーが大きかった」と岩崎監督が振り返ったこのプレーから、RB32小泉のランでゴール前に迫ると、QB8櫻井→小泉→WR11嘉本と渡ったボールがエンドゾーンへ投じられ、櫻井がキャッチ。乾坤一擲のスペシャルプレーで、試合を振り出しに戻した。

     過去2試合、試合の途中で相手に渡してしまった流れを取り戻せずに敗れていた。しかし、この試合では、その流れを手放すことはなかった。続く法大攻撃を3プレーでパントに追いやると、QB10穴田のランなどでじっくり攻撃。4分をかけて32ヤードを前進し、K3埒見の41ヤードFGで勝ち越し。その後はロスタックルを受けるなど、法大守備に苦しみながらも、守備が2つのターンオーバーを奪って得点を許さず、3勝目を挙げた。

     「(2インターセプトの)DB陣は若いけれども自信を持ってやっている。守備の安定が勝利につながった」と岩崎監督。主戦QBを欠いた攻撃については、「(櫻井、穴田の両QBの)チャンスをモノにしようという姿勢が良かった。攻撃の手詰まり感が少しは打開できたかな」と、リーグ優勝の可能性を残し、次節以降への意気込みをうかがわせた。

     敗れた法大の有澤監督は、「(4連勝したとはいえ)苦戦した中でチーム力は上がってきたが、明大には及ばなかった。(次節の)早大も強いのは分かっている。この敗戦で選手がどう奮起できるかが鍵」という。接戦に持ち込み、この試合でFGを蹴る機会のなかったK20高橋を含めた総力戦で次の試合、横浜スタジアムでの早大戦に臨む。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 放送委員長・広報委員 松川 達也〕
  • 第5節2019年10月26日(土)中央大学○43-12●日本体育大学

    中央、うっ憤晴らす猛攻

    中央大学のオフェンスが、これまでのうっ憤を晴らすかのように、次々と得点を重ねた。立ち上がりから一年生QB14西澤のパスがさえ、RB3大津も小気味いいカットで着実にゲインする。西澤は前半、縦に横にと正確なパスで日本体育大学の守備陣を切り裂いて3TD。さらにK12渡邉のFGとパントブロックからのセーフティも飛び出し、前半だけで26-0と一方的な展開とした。

    台風の影響で前節が一週間延期となり、中一週間で迎えた試合。条件は相手も同じだったが、開始から動きのよさが目立ったのは、中央の面々だった。攻撃陣だけでなく、守ってもメンバーを落とした第4クオーターに失点するまで、日体大の攻撃をシャットアウト。日体大が今季よく見せるパントフェイクからのプレーにも冷静に対処し、常にいいフィールドポジションで戦えた。
    「もっと競った展開になると思っていた。堅く勝てればと考えていたが、オフェンスがよくやってくれた」と、蓬田ヘッドコーチは手応えを感じた口ぶりだった。

    初戦では法政大学を終盤までリードしながら逆転負け。続く立教大学戦も、攻撃で300ヤードを獲得しながら1TDしか奪えずに敗れた。早稲田大学戦も落とし、前節の明治大学戦では初勝利をもぎ取ったものの、オフェンスは低調だった。「明治戦を除いて、距離は稼いでいても、点が取れないことが多かった」と蓬田ヘッドコーチ。終わってみれば、攻撃で468ヤードを獲得して43点。後半に攻撃を率いた同じく一年生のQB16小島もTDパスを決めるなど、収穫の多い一戦となったようだ。

    最終節に予定されていた慶応義塾大学との試合がなくなったため、中央にとっては次節の東京大学戦が最終戦となる。不戦勝を含めて3勝3敗とし、チャレンジマッチに回ることはなくなった。それどころか、東大に勝てば、4位に入る可能性もある。
    下位校から当たることができる4位と、上位校から当たる5位とでは、来季の戦略も大きく変わってくる。蓬田ヘッドコーチは、「次はこんな試合にはならないだろう。東大はしっかりとしたフットボールをしてくる。その相手にしっかり勝ちたい」と、もう一つ上をにらんで気を引き締めた。

    日体大は、不戦勝を除いて勝ち星なしの5敗目。次節は試合がなく、最終節の東大戦は、負けた方がチャレンジマッチに行くという、まさに生き残りを懸けた一戦となる。1部リーグがTOP8とBIG8に分かれた2014年から5年連続でチャレンジマッチに回っている日体大。不名誉な記録を途切れさせるためには、これまで以上の奮起が必要となる。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第4節2019年10月20日(日)立教大学○21-14●東京大学

    立教、集中力増した守備陣

    時間が経つごとに、立教大学守備陣の集中力は増していった。特に後半はパントリターナーのファンブルや自陣深くのファンブルロストで、何度も窮地に立たされながら、東京大学にTDだけは許さずに最少失点でしのぐ。同点を狙った東大最後の攻撃シリーズも、第4ダウンギャンブルのパスをDB1中谷ががっちりと胸に収めて勝利を手中にした。第4ダウンのインターセプトは、賛否両論あるところだが、とにもかくにも立教が粘る東大を振り切り、3勝目を挙げた。

    台風19号の影響で一週間延期され、会場が変更された試合。さらに、慶應義塾大学の棄権もあって開始時間も変更となった。早稲田大学東伏見グラウンドの限られた観戦エリアが約400人の立ち見客でぎっしり埋まる中、まずは立教がQB3若狭のランを効果的に使い、FGで先制。対する東大も、第2クオーターに短いパスを受けたWR13相藤が相手をかわして一気にゴール前へ迫ると、最後はQB14伊藤宏が持ち込んでTDを挙げた。

    立教もすぐさま反撃。続く攻撃で、QB3若狭がDBの間に投じたパスに、WR84渡邉が執念のダイビングキャッチを見せてゴール前に前進。渡邉はここで負傷して退いたが、このシリーズでTDを挙げ、3点リードで後半へと折り返した。「あのキャッチが大きかった。チームの皆にパワーを与えてくれた」と中村監督。そして後半開始のキックオフリターンで、RB2荒竹が巧みな走りでTDを挙げて東大を突き放した。

    第4クオーターのFGトライでは、相手のオフサイドを誘発して距離を縮め、43ヤードのFG成功で差を広げた。攻撃の獲得ヤードだけでいえば、東大の258に対して立教は206。中村監督は、「相手のミスに助けられた。うちも見えないところでのミスも含めて、ミスが多かった」と謙そんしたが、フットボールに限らず、スポーツにミスは付き物。だからこそ、選手やチームはミスが発生するのを最小限に抑えようとするし、起こってしまったら懸命にリカバーしようと努める。そういった意味で、この一戦で立教が勝利を手繰り寄せたのは、必然の結果だといえるだろう。

    一方の東大は、上位校に善戦を続けながら、なかなか勝利を手にすることができない。特に後半は何度も同点のチャンスがありながら、FGにとどまったり、ギャンブルを失敗したりするなど、歯車がかみ合わなかった。森ヘッドコーチは、「ふぅー」とため息をつくと、「選手たちが動けていなかった。詰めが甘いし、攻め切れなかった」と反省ばかりが口を突いた。初めてのTOP8への挑戦も、リーグ戦の残りは2試合。来年も同じ舞台で戦い、さらに上を目指していくためには、どこかで壁を乗り越えなければならない。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第4節 2019年10月19日(土)明治大学●8-10中央大学

    『中大が待ち望んだ初勝利』

    ひとりのRBコーチがその巨体を華奢なパイプ椅子めがけて、どっかりと腰を下ろした。
    「この試合、見ないと、あかんのですわ」
    成長著しいランニングアタックに心を込めて指導する早大の中村多聞RBコーチだった。
    すでに1敗したとはいえ優勝のチャンスがある明大との直接対決を最終節に控えた入念なまでのスカウティングであった。

    明大にはエースランナーで注目されるRB32小泉がいた。
    また中大にも過去に中村コーチによる個別指導会を受講した教え子がいた。試合前にその選手らと、やあ、と目礼を交わし、あとは特段、声を荒げることもなく、だんまりをきめてじいっとフィールドを見つめ続けた。

    中大の多摩キャンパス内の谷間にある人工芝グラウンドでは、ラグビーやホッケー、ラクロスに体育の講義との兼ね合いの中、時間をやりくりして練習に明け暮れる中大だった。
    それだけにときを大切にしたトレーニングが行われ、それで良き集中力が育まれた。

    「昔からの伝統です、我々には『強い中大のDL』がありその歴史を継承していかなければなりません。それとDLからどれだけチームを盛り上げていくかなのです。自分は、いつも通りにロスタックルを狙いにいきました」
    守備ラインで、逆サイドに位置していながら素早い回り込みをみせて、RBの進路を巧みにふさいでいくディフェンス。そこでクールな眼差しながら少しだけ、してやったりの表情を見せたDL1樋口だった。
    そのように中大の守備は、つねに攻めのディフェンスをみせていた。
    「セイフティなどのミスはありましたが勝ち切ることが大事です。それと父兄の皆さんやOB、学生たちの応援がうれしかった。残り、全勝しますよ」
    明るさに満ち雄弁になる蓬田ヘッドコーチは素直に勝利を喜んだ。
    そして全体ハドルの後すぐにDL樋口をはじめ巨漢DL10山口など個性あるDLユニットを集めて、ご苦労さまとねぎらいの言葉をかけた。

    中大にはDLとLBとの間に秀逸なコミュニケーションがあり、それを軸にした重厚そのものな守備を披露。さらに若き攻撃陣は1年生QB16小島からRB3大津とRB29針ヶ谷へとバランスよくハンドオフされ、またK/P5福井の冷静なキッキングが輝いていた。

    アウェイの闘いながら持ち前の気迫をもってすれば、いくらでも穴を抜けてロングランとなるはずの明大が、しばしば攻めあぐむケースが見られた。
    「あれから立て直しが上手くいかず、各自が自信をもってやろうとしても、なぜかやりきれないオフェンスでした」
    いつもの早口どころか、ゆっくりかみしめるように口を開いた明大の岩崎監督だ。
    同時に、そこに潔さもあった。

    「自分としては調子が良くてパフォーマンスもよかったのですが、中大の守備にかみあわず、最後も決めきれないで悔しいです」
    心の優しさがプレイ中にうかがえるQB4西本は、WRがマークされているとみるや果敢にスクランブル、そこでなかなかのゲインをしてみせた。が、ときに密集のタックルに巻き込まれるケースが生まれていた。

    当初の優勝候補から一転、2敗目を喫し、さて、ここからが紫紺魂の見せ場であろうか。
    春4月から強豪チームに勝利して威風堂々の印象にあった明大は、終盤戦の法大と早大にそのすべてをかけていく。

    ホームグラウンドでうれしい初勝利を挙げた中大は、OBに加えて講義を終えた学生たちが多数応援にやってきて躍動感あるチアリーダーとともに暖かい声援を送った。それは多摩の緑に包まれた谷間に、おおきく木魂していた。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第4節 2019年10月19日(土)法政大学○26-9●日本体育大学

    『全勝をキープした法大』

    日本全土を襲った台風の影響で、前の週に予定されていたTOP8リーグ戦は、1週間ほど延期されなんとBIG8リーグの試合日と重なってしまった。
    法大はブルーが鮮やかな武蔵小杉の人工芝グラウンドでの2試合目となった。そこに鍛え上げられたアスリートが揃う日体大を迎えた。

    法大の新鋭1年生QB4平井は、確かなボール保持からていねいなハンドオフを繰り返していた。決してそのボールを奪い取るわけでもなく至極淡々ともらうRB29阿部は、切れ上がりの良いカット走法でぐいぐいと前進してTDにつなげていった。

    「ほんとうは平井からもっとパスを受けたいのですが、いまはRBが走ってくれるので、まずはブロックをしっかりとやることが大切です。それとキャッチしてからの動きに磨きをかけること、そのときのために頑張っています」
    長身で好ましいバネを持ち合わせるWR81神はパスが投じられた場合は絶対に取ってやると心に決めていた。
    そしてツインWR7糸川や後輩のWR11小山とアイコンタクトさながら阿吽の呼吸でダウンフィールドに出ていき、絶妙なコース取りでのパスオフェンスを演じていた。

    試合は、膠着した前半に勢いのあるタックルを浴びせて法大をFG4本に抑えた日体守備陣であった。が、後半になると故障欠場の選手が出始めた頃から受け身に回り、その一瞬の隙をついた法大が順当にTDを重ねていった。

    「縦に鋭くスピードを上げていってホールを見ないでひたすらに突っ込む、それが自分らしさなのです。TDを取れるところで取れないもどかしさを感じましたが、いくらかでも勝負できたように思います」
    その見るからにパワフルな走りとランブロックで奮闘していた日体大RB49田村だった。
    加えてケガから復帰してきたエースQB4中村は落ち着いた物腰からRB40千代と田村にボールを渡し、パワーダイブ系と左右のオープンで前進した。
    しかし後半は波状型に押し寄せる法大ディフェンスによって、その道は険しくなった。
    「要所でいいタックルを確実に出さないといけません。選手たちが持っているものはもっとあるのであと3試合、より精度を上げて挑んでいきます」
    日体大の玉ノ井ヘッドコーチは試合全体をとおして選手達の挙動に手応えを感じ、さらにやるべきことを考えていた。
    この日体大の攻撃において中村、田村、千代の3年生ユニットはまとまりがよく、来季のさらなる伸びが期待される。


    ここまで全勝、ハドル内でわかりやすい言葉を選び、それをしっかりと伝えて各々のやる気を促した法大の有澤監督だった。
    「まだ前半におけるプレイのテンポが良くない。ただ、それぞれが変わることはすぐにできる、みんなには伸びしろがあるから。だから最後の1プレイまでしっかりとやり遂げたい」
    そして、この試合でランがさえたRB3岩田主将が続いた。
    「がむしゃらに4年生が引っ張っていく、チームがひとつになりとことん突き詰めて明大と早大にすべてをかけていこう」

    柔軟性に富み、あるときには一気にたたみかける優れた力量を有する法大は、いよいよ残す3試合で斬新な戦術を投入してくることが考えられる。
    リーグ終盤戦、俄然それから目が離せなくなってきた。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第3節 2019年9月29日(日)法政大学○24ー21●東京大学

    『押し切って勝利した法大』

    青空が広がる武蔵小杉の法大グラウンド、ここは青色の人工芝に変わり幾久しく、強者の法大その伝統が脈々と息づいていた。
    地元の利を最大限に活用する法大は、熱く見つめグラウンドを取り囲む大観衆を前にして、いくらか緊張気味ではあった。が、そこはフレッシュなスターターQB4平井が正確でタイミング良いハンドオフでエースRB29阿部を走らせ、立ち上がりのリズムを作っていった。

    そしてすぐにRBユニットを組む新鋭1年生RB30星野が先制TD、そこに続けとばかりにRB阿部がTDを重ね、いきなり14-0とした。

    「学生たちには言っておいたのです、相手をなめるようなことがあってはならないと。これは各人わかってはいたようですが1Qにあげた2本のTDで、どうなんですかね、その後に甘さが出てしまったというか。それだけにまた最後の最後までしっかりとやっていこうとベンチで繰り返し伝えたのです」
    法大の有澤監督はとうとうと語った。
    先制した連続2本のTDで勝てると思った瞬間に隙ができ、それも勝負事でありいったん緩んだ気持ちを再度しめるのは、試合中において至難の業となる。

    加えて主将で頼みの綱RB3岩田主将のファンブルなどミスが出てしまい、じわりじわりと東大に追い上げをかけられることになる。

    「これまでのゲームでは気持ちの上げ下げがたくさんあり、自分自身でもどうしてなんだろうと考えあぐねていましたが、リーグ戦の3試合目でようやく試合を通して平常心を保つことができました」
    一瞬だけ笑顔を見せたが、すぐに真面目な表情に戻りていねいに語る法大QB1平井。
    そこには、まだあまりパスが決まっていないと少しだけ残念そうであったがSIC(埼玉千葉茨城地区高校)の強豪 千葉日大一高時代に観られたミドル系のシャープなパスは健在。それが異彩を放つのは後半戦であろうか。

    「力負けでした。それを点差以上に感じてしまっていて。とにかくチームを勝たせたいのです。僕個人のことはどうでもいいんです。チームが勝利してこそなんです」
    惜敗後のポジショハドルを終えて目の中を赤くしたまま実直に応えてくれる東大のエースQB14伊藤(宏)。
    これまで、やや浮足立っていたパスアタックは落ち着きを取り戻し、広い視野から投げること24回、成功14回で96ヤードを獲得していた。
    しかもチーム最初のTDは、信頼するパワフルな巨漢OL72唐松を軸にした大型なオフェンスラインがこじ開けてくれた中央部からのQBキープラン。これで反撃の狼煙をあげ、ベンチと応援席をなお一層、奮い立たせた。
    さらに交代で出場したQB12伊藤(拓)がサイドスロー気味の右腕から鋭いパスを決めていく。そしてその伊藤(拓)もまたキープランTDをあげ後半14-14と同点に。
    スクールカラーの水色にゴールドのヘルメットが躍動、東大ベンチサイドはわきに沸いた。

    一転して、後半ここぞとばかりに伝家の宝刀フリーズオプションを披露した法大。
    ランに才覚あふれる4年生QB12勝本とQB平井との併用で、RB阿部とRB星野がかわるがわるに体軸を柔軟に上下動させながら巧みなランで前進。こうなると、それら個人技に手を焼いてしまう東大守備。最後はFGブロックからリターンTDしたものの法大の厚みある攻撃を崩すまでには至らなかった。

    「勝ち切れないですが、全員が持っている力を十分に出し切っています。ここまで周到な準備、コンディショニング、メンタルコントロールなどすべてにおいてしっかりと整えてきました。あとはより一層の実行力なのです。いま選手それぞれに自信がついてきていると思います」
    東大の森HCは敗戦の悔しい気持ちを抑えながら、それは理論家の指導者として淡々と語り始めた。

    このあと残り4試合、日の出の勢いがでてきた東大におおきなドラマが訪れそうな予感である。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第3節 2019年9月28日(土)早稲田大学○31-7●中央大学

    早稲田、危なげなく3連勝

    駒沢第二球技場の若干暗めの照明の下でも、早稲田大学の安定ぶりは際立っていた。直前の試合で、優勝を争うと目される明治大学が、慶應義塾大学に足をすくわれた。ライバルの敗北に、一段と気が引き締まったことは想像に難くないが、中央大学を相手に序盤から着々とTDを積み重ね、危なげなく3連勝を飾った。

    第1クオーター、中央の最初の攻撃。テンポよく進んでくる相手を、まずはDB38渡辺がインターセプトして断ち切った。すると、攻撃の2プレー目で、QB1柴崎がRBにひとつフェイクを入れてから、ポストパターンを走ったWR6ブレナンにロングパスを的確にヒット。ブレナンはそのままぐんぐんと加速してゴール前1ヤードまで迫り、最後はRB25吉澤が先制のTDを挙げた。

    さらに、第2クオーターに2TDを追加すると、その後は下級生や試合出場の少ない選手を積極的に起用し、経験を積ませた。たとえば、攻撃のかなめとなるQBは、柴崎が下がった後は、野球出身の8吉村と長身サウスポーの12宅和を併用。それぞれが持ち味を出しながら、攻撃を進めていった。また、守備では若いメンバーを投入しただけでなく、新たな戦術にもチャレンジしている様子。高岡監督は、「特に守備は試したいことができたと思う。修正ができてきたのかな」と手応えを口にした。

    上位校にとって、リーグ前半戦は、戦いながら選手層を厚くすることができる機会でもある。もちろん、2014年に1部リーグがTOP8とBIG8の縦列に変わったことで、それまでの並列時代にあったような大差の試合は少なくなっているのも事実。それでも、『勝ちながら育てる』という両立が難しいミッションを実践している早稲田は、上位校との対戦に向けて、順調に刃を研いでいるように見える。

    次戦は、明治を破って気勢が上がる慶應と、相手のホームに乗り込んで戦う。慶應に優勝の可能性が出てきたことで、リーグ戦は最初のヤマ場を迎えることになるが、高岡監督は、「首の皮をつなげられるようにしたい」と、油断することなく準備を進める構えだ。

    開幕から3連敗の中央。この日は後半から出てきた一年生のQB16小島が、しなやかに長短のパスを投げ分け、第4クオーターには33ヤードのTDパスを決めた。上位校との戦いで故障者が出て、苦しいシーズンが続くが、若い力がひと筋の光明となるか、期待されるところだろう。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第3節 2019年9月28日(土)明治大学●10-20○慶應義塾大学

    守備陣が覚醒、価値ある白星

    攻撃の獲得ヤードは105対279。これだけを見ると、どう考えても勝てそうにない数字だが、慶應義塾大学は守備陣が計5つのターンオーバーをもぎ取り、効率よく得点につなげて優勝候補の明治大学から大きな勝利を挙げた。

    10点を追う第3クオーター、慶應の守備陣が明治に襲い掛かった。まずはDB22山本が、この日2つ目のインターセプトで攻撃権を奪取すると、最後はRB6根岸が1ヤードを押し込んで3点差に。続く明治の攻撃で、相手ファンブルをリカバーして、キッカーも務める山本の同点FGにつなげると、直後の相手ファンブルを勝ち越しFGに結び付けた。
    さらに、次の明治の攻撃を簡単にパントに追い込むと、鋭くラッシュしたLB42寺山がパントをブロックし、ボールを拾ったLB48富田が鮮やかにリターンTD。この間、わずか7分弱。まさに瞬く間に20点を挙げ、一気に主導権を握った慶應は、その後も集中力を高く保ち、明治をシャットアウトした。

    「前半はそんなにやられている感じはしなかったが、明治にじわじわと進まれ、点を取られてしまった。ハーフタイムで、『自分たちがやることに集中しよう』と言い合って、やることを明確にした」。前半もエンドゾーン内で相手のパスをもぎ取り、勝利の立役者となった山本は、後半の守備陣の覚醒に胸を張った。

    昨年5位に沈み、今季は上位陣との対戦からスタート。これで2勝1敗と白星を先行させ、次は3連勝の早稲田大学との対戦を迎える。しかも、会場は慶應の日吉陸上競技場と、ホームでの戦いとなる。春の定期戦では一蹴された相手だが、山本は「後半の守備を前半からやることが、自分たちの課題。しっかり準備していきたい」と雪辱を誓った。

    一方の明治大学。この春に関西学院大学、早稲田と昨年の東西の覇者を破り、優勝候補の一角に挙げられながら、不覚を取った。前半最初の攻撃で、7分近くを使って先制のTD。さらにFGを決めて10点差で折り返したが、後半一気に暗転した。
    岩崎監督は、「ミスの連鎖から、立て直すことができなかった。選手たちには、『誰かがやってくれるだろう』という気持ちがどこかにあるようだ。まだまだ力がないということ」と、潔く負けを認めた。もちろん、リーグ戦は中盤であり、優勝の望みが消えたわけではない。この黒星をシーズン後に笑って振り返ることができるかどうかは、試合後にサイドラインで涙に暮れたQB4西本らの今後の奮起に掛かっている。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第3節 2019年9月28日(土)立教大学○24ー7●日本体育大学

    立教、流れ変えた2つのプレー

    立ち上がりから、立教大学はどこかかみ合っていなかった。守備陣が日本体育大学の攻撃を無失点でしのいでいても、攻撃が思うようには進まず、なかなかエンドゾーンを陥れることができない。そうこうしているうちに、ときおり見舞われる日体大の好ゲインに、二度三度と冷や汗をかかされる始末。しかし、そんな嫌な流れを、立教は2つのプレーで見事に断ち切ってみせた。

    互いに無得点のまま迎えた第2クオーター終盤。日体大のRBが一線を抜け出し、またもロングゲインかと思われた。しかし、立教守備陣はあきらめずに追い掛けてファンブルを誘発。これをDB1中谷がリカバーして攻撃権を取り戻すと、今度は自陣で短いパスを受けたWR84渡邉が、タックルに来た相手をひとり、ふたりとかわし、敵陣深くに攻め込む。最後はQB3若狭がTDを挙げて、待望の先制点を手にした。

    後半は、動きがやや鈍くなった日体大から着実に得点を重ねた。終わってみれば24-7と差が開いたが、中村監督は、ほっとした表情を浮かべながらも、「最初から力を出せていない。良くも悪くも、練習でやっている通りのことが出ている。選手たちにも言ってはいるが、なかなかね…」と、今ひとつ納得がいかないというような口ぶりだった。

    初戦で慶應義塾大学相手に自滅した形の黒星スタートから、これで連勝とし、チームの調子は上向いているように見える。この日も実際、ひとたびスイッチが入れば、攻撃も守備もうまく回っていった。もちろん、それを試合開始からできることが理想だが、相手がいるスポーツでは、そうそううまくはいかないもの。上位陣との戦いとなるリーグ後半戦へは、集中力とプレーの完成度を、ともに今まで以上に高めていくことが求められる。

    日体大は、3連敗と前半戦は我慢が続く。相手の中村監督が、「日体さんはアスリートぞろい。なかなか止めることができなかった」と評したように、個々の能力は持ち合わせているが、TOP8で一番の小所帯で、後半にスタミナ切れを起こしてしまうことは、依然として課題だ。そんな中、この日が今季初先発のQB4中村が長短のパスを投げ分け、WRがあと一歩届いていれば、という惜しい場面が何度もあった。ラン一辺倒だった攻撃に、変化が加わったことは、生き残りに向けて明るい材料だといえる。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第2節 2019年9月15日(日)明治大学○28-10●東京大学

    『明大、盤石の勝利』

    過去にはチャレンジマッチへの出場の時を経て、ついには東京ボウルへの出場というように年を追うごとに上昇してきた明大だ。
    今季はいよいよ優勝を狙おうという機運に満ちている。
    応援スタンドにはチームカラーの黄色のTシャツとチアスティック、そして紫紺の旗が大きくたなびいていた。

    「前半にTDを2本とってチームは気持ちが乗りましたね。もともとディフェンスは安定していました。現在はランを主軸にしていますが、パスを交えてのバランスよい攻撃になって。最初は、ややランにこだわり過ぎた部分もありましたが、それを踏まえてです」
    大柄な岩崎監督がベンチサイドで腕組みをしながら、じいっと立ち上がりから戦況を見つめていた。
    いまや3年目を迎えて円熟味あふれるQB4西本は、左右どちらもスピードあるリードオプションからRB32小泉へとタイミング良いピッチ、および素早いミドルパスを決めていた。そこで、最後は信頼あるエースWR5久里にTDパスをヒットさせた。
    「反省があります。余計な反則にインターセプト、あれはない。そういうミスをしないで強く進むことこそ、なんです」
    勝って兜の緒を締めるどころか、自分のプレイとミスをきつく責めてしまうQB西本だが、そこから進化しなければとの思いが強かった。

    「東大には実績ある森ヘッドコーチがいるので、何をやってくるかわからないチームです」
    それだけ気を配りながら万全の準備をもって、あらゆることに対応していくことを念頭に置いていた岩崎監督だ。
    ベンチサイドの後手では、選手たちがゆったりとキャッチボールなどでアップしてみたり、これはどうみても覇気がないのではと応援席に陣取るベテランOBの方々は気をやきもきしてしまい。しかし、それも学生主体を貫く明大のいまの時代の姿なのである。
    「4年生がしっかりとリードしてくれてまとまりがあり、好ましいチームですよ」
    ともすれば気の緩みに映りがちな光景でさえ、おおらかに包み込む岩崎監督はじめ明大の指導者だった。

    このところのマシントレーニングの成功もあり、ボディに厚みが出てきていた東大の選手たちだ。
    「みんな頑張っていたのですが力負けです。LBやDBのスピードに課題がみえて。もっとうまく、もっと強くならないといけない。我々はこれから成長していきますよ」
    森ヘッドコーチは、あっさりとした言い方ながら先への望みをつないだ。
    ここ2試合ともにTDを得て好ゲームを演じている東大だ。
    豊富な部員数と機動力、まとまりの良さと組織力をもってTOP8のリーグ戦に挑んでいる。

    「明大のRBにずるずると出されてしまい、アジャストができなくて。それに明大のWRはスピードがあり、カバーしていきたかったのですが、そうもいかなくて悔しいです。これからも、粘りの守備で相手のシリーズを切ることをやっていきたいです」
    ディフェンスで、どのようにすれば局面を打開できるのかと考え続けていた副将のDB25八尋に、ひたむきさがあふれ出ていた。

    強者に対して果敢にアタックし、そこから新たな展開を見出そうと努力を重ねる東大である。またリーグ後半戦にかけて大いなる躍動が期待できそうだ。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第2節 2019年9月15日(日)立教大学○17-7●中央大学

    『気迫がこもる立大』

    気がつくと朝から快晴のAGFフィールドだった。
    秋なのに、まだ、ぶり返しの暑さがある。
    そのため前半に2回のウォーターブレイクが入れられた。

    「小さな変化がありました」
    好ゲームに勝利した中村監督が、ひとつ呼吸を整えながら放つ一言だ。
    「このままで良いのかな、次の試合までの2週間をどのように過ごすのかと、問いかけて。フットボールに誠実に向き合おうよと、でしたね」
    監督から真摯なまでにそう言われ、開幕戦の敗退から奮起をみせたフットボールのルーツ校、伝統の立大だ。

    高校時代からの長年のペアQB2若狭からRB3荒竹のハンドオフが見られないこの試合、いわば戦力ダウンなのではとの懸念もあった。そこに二番手、三番手といえるRB22西とRB31佐々木とが交代で出場していた。
    その2人を生かして進む4年生QB若狭はリードオプションから、ピッチにダイブ系のハンドオフ、キープランと獅子奮迅の走り、そして絶好のミドルパスを見せた。
    「いやRBは荒竹ばかりではないのです。西と佐々木にもしっかりとしたランがあります」と、にこやかに語る中村監督。

    一進一退の1Qから2QにそのRB西が中央を抜けてTD、さらに後半になるとQB若狭は大型TE/K/P98吉田へポストパスを通してTD、しかもその後すぐにFGを決めて17-0とセイフティリードだ。
    立大守備にもまた優れたアスリートが存在していた。
    「ディフェンスがキーになって試合を作っていく、これが理想です。つねに粘り強く守ることができました。要所で止めて攻撃へと渡す。それができたと思います」
    最後尾に構え守備の要としてタックル、WRのマンマーク、反則してしまった選手への心のフォローなど積極的に動きまわっていたDB1中谷だった。
    「彼はもっとすごい選手になれる、そういう素養があります。それが楽しみでなりません」
    中村監督の温かい言葉が続いた。

    8月後半に行なわれた記者会見では、今季は厳しいですというような少々元気のない言葉を並べた蓬田ヘッドコーチではあったが、ここまでチームを仕上げてくるのは指導者の力量ありきである。
    「やっていることは間違いないですから、その精度を上げていくことが大切で、いわば途中のような、いまはですね。それは初戦の法大で通用した部分があったので。もとから1ヤードでも前に進もうという意欲が選手たちにありますから。これを軸にして頑張れるチームを作っていこうと思います」
    負け試合とはいえ、決して暗くはならず持ち前の明るさと大声ではっきりと応えてくれた。
    「今日は近いので自宅から自転車で来たんですよ」
    と、そのまま黒い欧州風の自転車に乗って、颯爽とグラウンドを後にした。

    中大には今後に期待できる若い2枚、新人のQB14西澤と左腕QB7山村がいる。
    パッシングでは相手DBの手が届きにくいところに投げ、そこにWRが飛びついていく場面がしばしばみられた。これらも精度の向上において充分にキャッチできる範囲だ。
    それも4QにはQB山村からWR4岡崎そしてWR87小坂へとヒット。さらにRB29針ヶ谷のタフなランなど個性派の選手が揃う。

    「私たちは粘りの守備スタイルなのですが、今日はレッドゾーンの守りでの迷いもあり、悔しいですね。そのあたりを補いながら次へです」
    みるからに悔しさをにじませた副将DB22金子だった。
    そのもの自力ある中大らしさのフットボールの構築は、もうすぐそこまできている。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第2節 2019年9月14日(土)早稲田大学○28-0●日本体育大学

    『難敵を下した早大』

    「やはりブレナンにパスを通したい。なにがあっても通しますよ!」
    見るからに秀逸な左腕QB1柴崎は、最終学年を迎えて、はっきりとそう言う。
    メインターゲットはエースWR6ブレナンであると。
    「相手の厳しいマーク、そういうのはまったく関係ありません。その上で、あいつにパスを通してこそです」
    それがチームに勢いを呼び込む礎になるからと。
    懸命にブレナンの背を目線で追い、高らかに、ときに鋭くボールを投じていった。
    身体柔らかくブレナンはそれを、すうっと何事もないかのように自然にキャッチし、それを繰り返していった。あえて宣言した王道QB柴崎-WRブレナンの超ホットライン。
    崩せるなら崩してみろとの信念の表れ。そこに早大の強さが垣間見られた。

    だが、いつものスロースタート。

    アスリート揃いの日体大が左ラインの副将OL75松村を軸に強烈にプッシュして、RB40千代らを走らせゲインを重ねていく。そして先制のTDを狙う日体大。
    元来その相性の良さがあり、やや苦手とするチームカラーとの認識の早大だ。
    「いつもながらオフェンスの立ち上がりが悪くて、それにファーストシリーズからランが止まらずどんどんやられてしまって。なんなんでしょうね、気持ちのゆるみがあるのでしょうか。そのあたりは4年生に期待をかけていきたく思います」
    チームの引き締めを上級生に担った高岡監督。
    そのぶ厚さを誇る早大RB陣は前年に比すると、まだ後半戦に合わせている状況であろう、中村多聞RBコーチが手塩にかけて育て上げた逸材の宝庫である。

    日体大はQB8今村がスターターとして登場。日体荏原高アメフト部出身で試合経験が豊かな新鋭だ。
    それに卒業した昨年までのエースQB小林が大学職員として日体大に勤務、有形無形でその教えを受け、その小林によく似たプレイスタイルを有していた。

    汗もない真面目な表情で控室に戻ってきた副将OL松村だった。
    「左サイドで、いいドライブで出せていけました、ただTDを決めきれないのは反省点です。このドライブ力は先に維持していきたいですね」
    姿勢正しくそう言った。

    健闘およばずTD4本を奪われ、完封負けに終わった日体大。
    「フォルススタートなど、勢いがあるのに自分たちのミスでチャンスを逸してしまう。守備は相手とのヒットに強くあり、それで球際も強くあり、これまで地道に練習でやってきたプレイが前進を生みと良い部分はたくさんあります。それだけに反則のミスはいただけない」
    今季からチームを掌握する玉ノ井ヘッドコーチだ。
    そこに悲壮感はなく、これからであるとの意気込みが感じられた

    日体大チームサイドのスタンド前には、いつもの躍動感いっぱいの強豪チアリーディングチームVOLTEXが機敏な動きとリズムで熱い声援を送り、選手の背中を押し続けていた。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第2節 2019年9月14日(土)法政大学○30-20●慶應義塾大学

    『法大、順当に勝利』

    秋の開幕9月中の試合時間は開始が午前10時と、暑さをしのぐために昼をはさんで第2試合が午後3時30分に組まれているAGFフィールド。
    その天然芝のグラウンドは熱を吸収して、芝のクッションもよろしく、プレイするには最高なシチュエーションにあった。
    そのメンテナンスの人々による心のこもったグラウンド整備を、足裏や身体全体で感じながら選手たちは躍動していった。

    「反省点というのはありますね。まだまだどんどん行ける、もっとイケると。練習でやれていることをしっかりと出そうよと。我々は伸びしろがたっぷりのチームです。それも試合を通じてブラッシュアップできるチームなので」
    勝利して、選手たちに思いをわかりやすく伝えた有澤監督だ。
    試合後のハドルで、勝ちゲームという安心感とともに法大の選手たちの目が輝く。

    それも法大のオフェンスにはほとんどパスがなく、これはQBが9投して4回の成功で獲得わずか31ヤード。おもに実直なラン攻撃で300ヤード近くを走ってTDに結び付けていた。
    ともすればレシーバーに難があり?はたまたQBと個性あるRBそして強靭なOLの育成のためなのか、とスタンドのファンが心配する場面もあり。しかし、これらは先の大きな勝利へのステップであろうと、オレンジ色のチアスティックを打ち鳴らし見守った。

    「2年生の時にけがをしてしまって、そこからですね。しっかりと治して、走りたくて、ほんとうに走りたくて。ですから今日は思い切り走りました。それもスピードで抜けていく自分の持ち味を十分に発揮してです」
    復活のランとなった4年生RB32小林は重心を落として、相手DBを引きつけシャープなカットをみせてロングゲインしていった。
    主将のRB3岩田にRB29阿部と、いよいよ頼りになるRBユニットが揃ってきた法大だ。もちろんそこには地道ながらタフに展開して押し続ける大型OLの面々がいる。ならば、リーグ戦前半は手堅くRBアタックで突き進むのが得策か。

    開幕からのスターターQB1西澤とエースRB7大河原が横に並び、スクリメージラインの向こう側を見つめる。それも定評ある慶大ノーハドルオフェンスを封印してのランニングアタックだ。
    さらに高校時代はQBで名を成した大河原がQBに入る場面もあり。
    「開幕戦の立大の時は反則がゼロでした。ミスをしなければ勝てる、その意識があります。ミスをしないでドライブしていってフィニッシュする。それなのです」
    ときに脱兎のごとく、しかもパワフルなランを見せた大河原だ。

    前半は20-13と1本差で、後半に逆転を願った慶大。
    ところが法大K/P20高橋FGを決められ、RB小林にダメ押しに近いTDを許してしまう。
    「タックルミスがあります。その基本がまだまだ、いわば自滅ですよ。後半に集中力を上げていくこと、それがまだできていません」
    そう冷静に敗因を分析した久保田監督。
    最長52ヤードのFGをはじめ51ヤードFGトライは横にそれたが、ロングキックを2本決めたDB/K22山本も健在。
    「わたしたちはスタートファースト、フィニッシュストロングなんですよ。それはできます、今シーズンはこれを力強く掲げていきます」
    デビッド・スタントオフェンスコーディネーターは早口の英語で言い切った。

    それは接戦の妙ともいえそうであり。
    シーズンを通してさらに強くなっていくであろう両チームだった。

    〔関東学生アメフト連盟広報委員長 岩瀬孝文〕
  • 第1節 2019年9月1日(日)早稲田大学○23-10●東京大学

    敗戦も、上々のTOP8デビュー戦

    前年優勝校が、TOP8初昇格校に苦しみながらも順当勝ち。端的に言ってしまえば、そういうことになるが、見る者により強い印象を与えたのは、後者の東京大学だった。現行制度になって初めて相対する早稲田大学に臆することも気負うこともなく、平常心で立ち向かっていった。

    まだ蒸し暑さの残る18時キックオフのナイトゲーム。試合開始からしばらくは、完全に早稲田のペースだった。東大の攻撃は続かず、守備陣も早稲田のQB1柴崎が操る攻撃を止めることができずに、あっという間にTDとFGで10点を献上した。応援歌『紺碧の空』を高らかに歌い上げて盛り上がる早稲田サイドの観客席。しかし、こんなワンサイドゲームかと思われるような滑り出しにも、東大の面々は慌てることはなかった。
    特にQB14伊藤宏を中心にランとパスのバランスが取れた攻撃は、何かが吹っ切れたように外連味のないプレーぶりで、次々とダウンを更新。第2クオーター序盤には、伊藤からパスを受けたWR/TE96永幡がエンドゾーンへ走り込み、TOP8での初TDを挙げた。守備陣も徐々に踏ん張り、17点を与えて以降は、TDを許さなかった。

    それだけに、不運だったのは、7点を追う第3クオーター中盤のウォータータイム(水分補給のためのタイムアウト)だった。敵陣に攻め込み、第4ダウン1ヤードで東大は迷わずギャンブルを選択。素早くセットし、伊藤がスニークで中央を突いた。ギャンブル成功かと思われたが、ここで審判団が集まって協議。結局は、ウォータータイムに入るのが先と判断され、仕切り直したギャンブルは失敗。文字通り「水を差された」格好となった。勝負事に「たられば」は禁物だが、これが成功していたら、あるいはと思わせるような展開だった。

    もちろん、敗戦という結果は変わらないし、昨季BIG8で1つしかインターセプトを喫しなかった伊藤が、この日だけで4つも喫するなど、TOP8のレベルを見せ付けられた部分も多々ある。森ヘッドコーチは「力を出し切れたのは収穫。良くも悪くも練習通りできたが、今のうちのレベルではミスが出る。まだまだ力不足ということ。引き続き、ファンダメンタルとトレーニングをしっかりやっていかねばならない」と冷静な口調で振り返った。

    一方で、早稲田の高岡監督は東大の力を認めて言った。「うちに油断とか気の緩みとかいうものはなかった。一生懸命やった結果」。相手の流れを止めるため、やむなくタイムアウトを取ったり、後半途中からはエースWR6ブレナンを投入したりもした。東大は、この日見せたような戦いを、続く上位校との対戦でもできるかどうか。昇格チームは、得てして勝ち点の「草刈り場」となりがちだが、東大はやすやすと与えるつもりはないだろう。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第1節 2019年9月1日(日)法政大学○16-13●中央大学

    法政、土壇場で中央を振り切る

    勝つには勝った。しかし、どうにもこうにもすっきりした感じがしない。そんな、なんとも評価の難しい法政大学の初戦だった。昨年の初戦は明治大学との接戦を落とし、最終的に3位に甘んじた。この日は終盤まで中央大学にリードを許し、残り7秒で決勝のFGを決めて、なんとか振り切るという苦戦だった。

    立ち上がりから、フィールドを支配したのは中央大学だった。
    一年生QB14西澤が短いパスを的確に決めれば、大型ラインに支えられたRB3大津が着実にゲインを重ねる。最後は西澤が8ヤードを走って、あっさりと先制のTD。その後は追加点をなかなか奪うことができなかったが、攻守ともにライン戦で優位に立った。対する法政は、こちらも一年生のQB4平井がランプレー中心の組み立てを見せるが、RB29阿部やRB3岩田の中央を突いたランは、その多くが相手守備陣の壁に阻まれることとなった。

    前半終了間際には、LB47松永がインターセプトからサイドライン際を駆け上がって33ヤードのリターン。これをK20高橋のFGにつなげ、なんとか4点差で後半へと折り返したが、相手に傾いていた流れを止めるまでには至らない。第3クオーターの序盤には、中央にロングパスでTDを奪われ、点差は10点に広がった。攻撃は相変わらず中央を突く攻めが中心。ワンポイントで起用されるQB12勝本の切れ味鋭いランで変化を付けるが、第4クオーター序盤にFGで3点を返すのがやっとだった。

    このまま昨年のように初戦を落とすのか。そんな雰囲気が漂い始めたころ、突如として目覚めたように平井のパスが威力を発揮し、WR81神に53ヤードのTDパスを決めて同点。残り1分20秒で回ってきた最後の攻撃シリーズでも、落ち着いて攻撃を指揮して残り7秒でも決勝FGにつなげた。

    法政にとって幸運だったのは、中央の西澤と大津がともに途中で退いたこと。この2人が最後まで出場していたら、勝敗が逆になっていた可能性もある。初戦ということだからか、プレーの完成度はもうひとつで、攻撃のプレー選択やタイムアウトを取るタイミングなど、ベンチワークにも課題が残った。それでも、有澤監督は、「うちのチームが伸び代だらけ。楽しみしかない」と、チームの今後の成長曲線をポジティブに思い描いている様子。「特にオフェンスで、課題が見つかりながらも勝ったのは収穫。みな反省していると思うし、おもしろいオフェンスを展開できるようにしていきたい」と、前向きな言葉を続けた。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第1節 2019年8月31日(土)明治大学○41-7●日本体育大学

    明治、後半立ち上がりに一気に得点

    昨年2位に躍進し、今季は優勝候補の一角に挙げられる明治大学。前半は日本体育大学の果敢なプレーに手こずったものの、後半立ち上がりに一気に突き放して主導権を握った。

    序盤は日体大の挑戦者としての姿勢が、鮮明に浮かび上がった。最初の攻撃プレーで、失敗に終わったもののQBからトスを受けたRBが奥深くに果敢にパスを投げ込み、最初の第4ダウンではパンターがそのまま走ってダウンを更新。後は続かなかったが、意表を突いた攻撃で、明治を受けに回らせた。
    守備陣の動揺が、攻撃陣にも伝染してしまったのか、明治はQB4西本のタイミングのいいパスや、RB32小泉の力強い走りで前進はするものの、なかなかエンドゾーンを陥れるまでには至らない。結局、前半はFG2本の6-0で折り返すこととなった。

    「日体の攻撃に、最初は泡を食ってしまった。スロースターターになってしまった」と岩崎監督。逆に、日体大からしたら、「いけるのではないか」という感触を、ベンチも選手たちも持ち始めていたことだったろう。しかし、高温の時間帯を避けて18時開始となったナイトゲームで輝きを増したのは、明治のゴールドのヘルメットだった。

    迎えた後半のキックオフ。自陣10ヤードで捕球したWR5九里が、90ヤードを激走してこの試合初めてのTD。ようやく肩の荷が下りたように、明治は攻守ともに生き生きとした動きを見せ始めた。続く日体大の攻撃を敵陣でインターセプトし、わずか2プレーでTDを奪う。続く日体大の攻撃をパントに追い込むと、今度は敵陣深くでパントブロック。ここも攻撃がすぐさまTDに結び付けた。
    この間、わずか4分45秒。相手のミスに乗じたとはいえ、リードを一気に27点に広げた明治は、2本目以下の選手を次々と投入し、2戦目以降の戦いをにらみながら、余裕を持って逃げ切った。岩崎監督は「後半よくアジャストしてくれた。九里が流れを持ってきてくれた」と、ほっとした様子で振り返った。

    昨年は初戦で法政大学との接戦を制し、勢いに乗って5勝1敗の2位。東西の上位校が戦うTokyo Bowlにも初めて出場して経験を積み、この春も、オープン戦とはいえ、昨年覇者の早稲田大学と、学生日本一の関西学院大学から勝利を挙げた。1985年に華麗な左腕QB渡邉とパワフルRB吉村のコンビで関東を制し、甲子園ボウルで関学大との歴史に残る死闘を演じてから34年。今の選手たちには実感はないだろうが、久方ぶりの関東の頂点への期待をほのかに感じさせる船出となった。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟 専務理事・広報部長 関根 恒〕
  • 第1節 開幕戦 8月31日(土)立教大学●8ー23〇慶應義塾大学

    闘志あふれた慶大

    猛暑の夏もそろそろ終わりを告げようとした8月後半。それでも容赦なく照りつける夏の日差しには、厳しさが宿る。
    試合の動きは静かだった。1Qはともに無得点。
    実力伯仲の両校、どちらも手探りである。

    試合が動いたのは2Q終盤、立大のファンブルフォースで攻守交代。ここからだった。
    ラン主体から相手守備が読めてき始めると徐々にパスプレーが増えてくる。
    リードする慶大はQB1西沢から落ち着いたミドルパスが要所に決まり、3QにはそのQB西澤からWR83原田への58ヤードのTDパスで0-16。
    さらに軽快なランで魅せるRB7大河原も中央を抜けてTD。互角といえたスタートから、最終的には8-23と慶大が開幕戦を制した。

    「初戦ということで、終始ボールコントロールを意識してのプレーでした。ターンオーバーを3つ取れましたからね、その意味では良いできだったと思います」
    慶大の久保田監督はあくまで淡々と応えた。
    前半は一進一退を繰り返し、ほぼ互角の力量という試合展開をみせた。
    そこに、エクスチェンジミスからのボールファンブルだ。チームのリズムが揺らぎ、試合の流れはがらりと変化してしまう。
    ともすれば、観客席の母校の応援に大挙駆けつけたファンの人々には、心躍る光景であり、逆サイドは苦み走る瞬間でもある。
    的確にゲームを進めそして相手のミスを見逃さない。それこそがアメフトの基本。

    部員200余名をまとめ上げる慶大DL90並木主将だ。
    「開幕戦を勝利した、ということで目の前の課題をひとつ乗り越えることができたと思います。先はとても長いのです」そこで満足せずに、次へ、との気迫が感じられた。
    「それに練習で出ていた細かいミスがまだ修正できていません。今日の試合でもその同じミスを繰り返してしまいました。そこを直していかなければ」
    大事な初戦に勝利してもなお、決して己を見失わず、ひたすら前を見続ける慶大である。

    「完敗です」
    立大の中村監督が、一呼吸おいて発した。
    「練習だけではなく、これまでの日々の取り組みが結果に繋がっています。練習や普段の生活からもそうでしょう、しっかりと見直さないといけない」
    と、さらに付け加えた。

    また丸刈りの立大OL64田邊主将がハドル後に口にしたのはこれだった。
    「最上級生がミスをして、それがチーム全体へ広がってしまって。下級生がしっかりとしてくれているのに自分たちがそれに応えられていない。それがほんとうに不甲斐ない」
    ひとしきり、悔しさにまみれた。

    立大の頼みの綱でもあったエースQB3若狭からエースランナーRB2荒竹への王道ともいえるハンドオフプレイは、慶大守備の執拗なタックルを浴びていた。
    「あのふたりは、完全にマークされていましたね。それはそうでしょう。だから、そこからなんですよ」
    中村監督が右手のこぶしをぎゅっと固くした。
    創立85周年を迎えたルーツ校のひとつ紫の立大ならではの伝統と意地がそこにあった。

    〔関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員長 岩瀬孝文〕